2009年04月30日

歴史小説おすすめランキング

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愛媛国縁起

入我(にゅうが)と我入(がにゅう)
         一
 わずか百余名ながら進軍を止めない都祢那賀(つねなが)達の前に、単身立ちはだかったのは納南(なな)である。
先だって、ついに媛が震え始めた時、納南は筒上山の頂にいた。眼下には漆黒の闇に沈む深い谷から、細い糸蛇のような炎の列が這い上がっていた・・、という。今は消滅してしまっている、かの鵜恭を先頭にした邪馬台の軍勢であった。
この軍勢は、納南の手を焼かすこともなしに、全山激震と同時に、その炎は飛び交いながら息絶える螢火のごとく、中空に投げ出されては虚空へと舞い落ちて消えていった。

 そんな有様を山頂で踏ん張りつつ見届けた後、納南は石鎚の天虞岳に続く稜線を駆け通し、媛のはるか下里に微かに煌めいて消えた火の群をも見た・・、というのだった。
 これが、おそらく都祢那賀の軍勢の松明であったろう。
納南は一気に断崖を駆け下り、一度は高守に立ち寄ったが、屋敷の無事を見届けるや、そのまま黒瀬峠に向かい、真護と夏琥が布陣していたはずの森林そのものが無い事を知り、天に向かっては一声遠吼えた。しかし、すでに真護達は昇天しており、これは虚しかったらしい。納南は、さらに下へと駆けた。この急場にも、媛ノ里どもが気掛かりだったのであろう。
 その途中にて、半ば崩れた森で、ついに進軍をやめない都祢那賀と遭遇したのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 16:12 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月29日

南海地震を予言してるわけじゃないぜっ!!

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愛媛国縁起

天災
     十七
 やがて笑い納めた都祢那賀(つねなが)は
「みなっ、見よっ」
 と、上機嫌なる声で鋭く叫んだ。
「一瞬前まで沸いておった軍勢どころか、媛そのものが果てた。我ら女陰より這い出してのち、泣いても笑うても夢に変わらぬ現世に生き、それもまた束の間じゃ。どうせ滅する一身ならこそ・・、せめて想いを遂げたいものよっ、のうっ」
「はっ、ははあっ」
 まだ大気が異常に張り詰め、痛いばかりの耳鳴りが止まない。
「地揺れはなあ、揺り返しのあるものぞっ、みな、下馬して備えいっ」
 とまで下知した刹那にこそ、媛国が絶頂に達したらしい。
よく尽くした地竜(ちりゅう)を、その疼く陰で擦り潰し、ついに仰け反り、やがて果てて鎮まった。
「俺とともに死ねやっ」
「はっ」
 都祢那賀は、かろうじて残った百余の兵士を率い、さらに山の奥へ、高みへ、と馬を進めた。行く手の山も方々が崩れ、地割れや陥没、あるいは隆起などが甚だしい。

 黒瀬峠の地割れには真護(まご)や夏琥(かこ)も落ち込み、地竜とともに媛の陰で擦り潰されていた、という。
 後の話だが媛国にて難を逃れた者といえば、高守屋敷に居た者七十三名と山手の村人が二百二十余名、下里の民が五百余名、それに都祢那賀達百余名の他にいない。
 被害は媛に留まらず、西は筑紫から四国全土、畿内を過ぎて東方にまで及んだ、という。この天変地異を想う時、吾【あ=乃麻埜=のおの】は、ガネーシャが大破壊神シヴァの実子である事を、改めて想い起こすものである・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:40 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月28日

小説大谷吉継、小説本多平八郎、読もうぜっ!!

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愛媛国縁起

天災
       十六
 山手から媛に入ろうとしていた軍勢も、悲惨であった。
石鎚は、古来より〈鋸の峰〉とも呼ばれる峻険であり、その険しさは建依別側の山岳の比ではない。天が割れたかのような暴風雨の中、道なき断崖を這うようにして登っていた都祢那賀(つねなが)軍一万の、ようやく先頭が瓶ヶ守の頂を極めようかとしていた時に、全山が激しく揺れて土砂と岩が崩れ落ち始めた。
太古の森林ごと崩しつつ、山そのものが崩れてゆくのである。

 今生への未練とて、荒ぶ大霊山の岩肌にしがみついた手が離れ、哀れなるかな、人などは中空に放り出され、糸を引くような絶叫を残しつつ、深みを増した谷へと落ちていった。
先に落ちた者達は即死、上から次々に人が降って折り重なって積もってゆく。軍勢の後方は未ださほど登っていなかったが、雪崩のように崩れ落ちる土砂と人に圧し潰され、まだ息のある者達は、落ちてくる人と岩に頭を砕かれて絶命した、とある。酷や、酷や・・。
「わっ、若様っ、どうやら邪馬台国も大事じゃてっ」
 覇津華雅(はつかが)は、声を震わせた。
ここまで天に見放されたのは、卑弥呼をはじめ邪馬台の巫女達を、何かしら異変が襲ったに違いない・・、と覇津華雅は云うのである。
 が、都祢那賀は一笑の内に否した。
「爺様、我国【邪馬台国】の神などは、あれは邪神やら悪魔、邪鬼の類ですぞ。もとより天におわしました真の神々どもではありますまい」
「ばっ、罰当たりな事をっ・・」
「これが罰なら」
 当てるも当てよっ、とて都祢那賀は笑う事を止めない。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 08:54 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月27日

戦国武将なら大谷吉継と本多平八郎忠勝だぜっ!!

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愛媛国縁起

天災
       十五
 殊里(しゅり)は陣の後方にあり、馬を輪乗りしつつ陣形を整えさせていた時に、呑まれたらしい。
およそ一万の兵馬、わずか一瞬の内に、この地上から消滅してしまったのである。
 戦場という特異空間のうちでは、悲哀にひたる、などという人間性は否定されてあると想ってよいか。いや、それにも増して、この天変地異のすさまじさは、尋常一様なる人情というものを、いっそ嘲り笑うほどに激烈であったことに間違いはあるまい。

 この天地がひっくり返るほどの大異変を引き起こしたのは、無論、ガネーシャであった。
 未明、この大真神は愛姫を優しく離して寝かせるや、単身、黒瀬峠に現出したのである。見おろせば、龍王(りゅうおう)の巨大な身体が折り重なるようにして水を塞き止め、その背から溢れ落ちるほどに水が湛えられて濁っていた。おそらく天竜(てんりゅう)の屍は龍王の下、水没して横たわっているのであろう。
 ガネーシャは、龍王の頭上に降り立ち
「よう耐えた」
 と云い、その場にどっかりと腰を据えて
「真志螺(ましら)も、緒呂知(おろち)も、慕絽羽(ぼろう)もぞ」
 と労いながら、両手のひらで龍王の頭を撫でてやり
「うぬらの魂魄、俺が手ずから昇天させてやる」
 と云った。
「暫し天空でくつろげ。その後、二度と形を整えず、石鎚に融けて染み込むがよい」
「恐悦至極に存じ上げ奉りまする」
 真志螺以下、主神達の御霊が和して応えた。
「愛の事も、もはや解き放ってやれ。あれも、もう大人の女ぞ」
「御意」
「よし。では・・・逝けっ」
 ガネーシャは中空に舞い上がるなり抜刀し、一気に龍王の首から真下へ斬り下げた。そのまま水中に没し、天竜の屍も裂いて、その下の岩まで斬った、というからすさまじい。

 堰を切られた濁流が、どっ、と流れ出し、辺りの山と云わず岩と云わず、それこそすべてを呑み込んで勢いを増し、巨塊とも化して圧し流れて下っていった。それを合図とて、ついに媛の陰部で地竜(ちりゅう)が全身をくねらせ始めたらしい。
 太古より何者にも触れさせたことの無い、という神聖かつ敏感なる秘所を刺激された媛は、もう、その身体中・・いや、大地を激しく震わせ、いよいよ切なげに悶え始めたのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 08:54 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月26日

小説大谷吉継、小説本多平八郎を読もうぜっ!!

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愛媛国縁起

天災
        十四
 陣の左方、加茂の河原に馬を入れた都祢那賀(つねなが)は、すわ敏感に異変を察したらしい。
これほどの大雨をうけながら、この大河の流量が少な過ぎるではないか・・・。
「ちっ」
 と舌を鳴らした直後には、馬を返し
「全軍、続けえっ、山の森へ突っ込めえっ」
 と怒号し、あとは一気に土手を駆け上がってゆくのである。

 それを見聞きした近場の陣太鼓が、渾身懸命なる〈攻め太鼓〉を打ち鳴らしている。それは瞬く間に伝播して、全軍が向かいの山壁めがけて動き始めた、まさに、その時である。

ずんっ!!

 と地が軋むような気配がして、上流から怒涛のような土石流が氾濫して襲いかかり、瞬時のうちにも大軍勢を呑み込んで、さらに濁流と化しては海へと流れ下っていった。
 都祢那賀ら、まず素速く駆け上がった者らが辛うじて逃げ込んだ山が、森林ごと動いたのである。いや、もう天然のすべてが軋み、不気味なる唸りをあげている、と想えばいい。
「なっ何事ぞっ」
 都祢那賀は足掻く黒葦毛(くろあしげ)の手綱を懸命に御しつつ、足元から崩れてゆく大地を蹴っては高みへ高みへと運ばせ、ずり落ちて止まった大岩の上で輪乗りして振り返れば、もはや自軍どころか、眼に映る天然そのものが変わり果てていた。

 後につき従うのは覇津華雅以下百名ほどの騎馬兵のみ、その中に殊里の姿はない。みな、一様に血の気の引いた顔を見合わせ、突然の恐怖に歯を鳴らして震えているばかりであった、という。
 おそらく、助かったのは魚鱗陣(ぎょりんのじん)の先頭部の一角のみであったのだろう。後は一気に濁流に呑まれ、荒れた水面におびただしく揉まれる流木と、川底を転がる岩塊に擦り潰されながら、そのまま海まで圧し流されたものであった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:41 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月25日

戦国武将なら大谷吉継と本多忠勝からはじめようぜっ!!

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愛媛国縁起

天災
         十三
 覇津華雅(はつかが)に向かっては
「褥食(みをし)を使わせよ。過ぎずに食らい、残りを捨てよ」
 と命じた都祢那賀(つねなが)である。
「あっ、阿呆なことをっ」
 と、逆らったのは先刻の古参将校であった。
「全軍滅する気かえっ」
 と血相を変えた将校にずかずかと近寄るや、都祢那賀は
「うぬ、我命を惜しんで、何の兵士ぞっ」
 と大喝し終わらぬ内に抜刀し、将校の首が罵る大口を開けたままで飛び、兜蟹の天井に激しくぶつかってから地に落ちて、ごろごろと転がり、泥濘にまみれた。
「みな、聞けっ、これが大陸にいう背水の陣じゃ、たった今よりが、都祢那賀様の戦ぞっ、うぬらの骨身に滲みて必死とて励めやっ」
 と、さも嬉しげに叫んだのは覇津華雅である。

 彼は、すぐさま表に飛び出し、自ら陣太鼓を打って都祢那賀の下知を全軍に伝えた。見おろす自陣は、もはや兜蟹が暴風にさらわれて乱れ始めていたが、あちこちから本陣の太鼓に和して下知が行き渡るにつれて、締まりを取り戻してゆく。
 覇津華雅は、太鼓を止めない。強く打ち過ぎ、手の皮が破れて血しぶいても止めず、暴風雨に曝されても破顔っていた、というから、この都祢那賀の下知に、よほど狂喜していたのであろう。
 やがて餅の朝餉を喫し終え、兵士達は腰兵食を地に投げ捨て、足で踏みにじって覚悟を固めた。率いる軍勢の六千余が騎馬兵であったが、馬が配されたのは三千に満たない。乱れた鶴翼陣から魚鱗陣へと陣変えを命じ、突撃隊形が徐々に整ってゆく。

 その頃、やっと風雨が凪いできた。夜空が、徐々にではあるが白みつつある。都祢那賀は、その常で、全軍の間を黒葦毛で駆け巡りつつ・・
「命はあずかるっ」
 と哄笑し、それを見聞した兵士達は、いっそ呪された者のように武者震いするのであった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 10:20 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月24日

歴史小説おすすめランキングには日本古代史っていうことで、戦国武将を描かせりゃ日本一の菅靖匡君が邪馬台国の軍記モノを連載してるんだぜえっ!!きゃあっ!!あたし、大谷吉継様が大好きなのっ!!じゃあ、もっと描いてくれるよーにハッパかけとくからねっ!!

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愛媛国縁起

天災
        十二
 この地竜(ちりゅう)が、いざや潜る媛の陰(ほと)は地中深く、黒瀬峠から東西に割れている。

【現在にいう中央構造線の事で、今では黒瀬峠のやや下手と四国自動車道の西条トンネル付近に露出して見える大断層線である。】

 地竜は黒瀬峠の地中深く潜り込み、ガネーシャの合図を待った。媛は、敏感である。地竜が触れただけで、わななくように微震した。そして、まるで濡れて潤うかのごとくに、黒瀬峠の下を塞き止められた川が大いなる湖にも変わって豊かな水を湛えてゆくのである・・。

 未明、はるか下流は都祢那賀(つねなが)軍の陣であった。
殊里(しゅり)が駆け戻ってきて
「荷駄は波に呑まれました、軍馬も半ばさらわれ船は壊滅っ」
 と、本陣に報告した。暴風雨と猛吹雪に全身を洗われ、その失望に憔悴しきった顔面いっぱいに、ぐっしょりと滴る水滴には、殊里が泣いているようにも見えた、という。
 仮眠していた都祢那賀は飛び起き
「しっかりせいっ」
 と、地におり崩れる殊里を叱咤した。
「若様、もはや後詰めどころか・・、兵糧すら望めませぬっ」
 さらには、退くことも能わずして・・と、殊里は虚脱したかのようである。
「それでよいっ」
 と、都祢那賀は勢いよく足で地を踏みつけ、甲高く叫んだのである。
「もはや退けぬぞっ」
 とも、これは狂うたものか、それこそ上機嫌で叫んでいる。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 08:27 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月23日

ガネーシャの下知に途惑う地竜・・、いったいぜんたい、どういうことだ?!そりゃあ、地竜さんが途惑うのもムリないわあ、だって・・。だって?!何だよ・・。

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愛媛国縁起

天災
        十一
 そんなガネーシャに愛は向き直って畏まり、きちんと両手で酒をすすめつつ訊いた。
「あの・・ガネーシャ様」
「んっ」
 ガネーシャは、幼い頃よりの癖でちょっと小首を傾げ、愛の顔をのぞき込んだ。愛は、ふと面映(おもは)ゆそうに眼を伏せた。
「父様や兄様は、いずこに・・、母様の御姿も見えませぬ」
「案ずるな、無事だ。それより・・」
「・・あっ、まっ、また、そのようなお戯れを・・」
「いやか」
「・・・・・・」
 どうやらガネーシャにとっては、戦も女も一つごとらしい。ついでながら酒も、である。このガネーシャほど、御神酒を好み嗜む真神もいない。まさに闊達自在、なんとも神々しい、とは、この真神のためにこそ在る言ノ葉であろう。

 想念の内に愛を慈しみつつガネーシャは呑み、言霊(ことだま)を飛ばして地竜(ちりゅう)を呼んだ。
 地竜は大地の虚空を駆け抜け、時を置かずにはせ参じ、太く長い身体を縮めるほどに畏まっている。
「首尾は」
「仰せの通りに」
「地竜、うぬにも役目だ」
「何なと仰せ付け下さりませ」
「媛国の陰(ほと)を知っておろう」
「・・存知おりまする」
「そこに、もぐり込んでは媛国と狎褻え」
「ええっ」
「媛の陰を思うさまに舐めよ、と申しておるのだ」
「おっ恐れながら、そっそのような事なさば媛が・・大地が悶えて揺れまする」
「揺らすどころかよ。この愛姫のごとくに、震えて仰け反らせるのだ。媛の陰が歓喜極まり、思わず、うぬを絞めて擦り潰すほどに辱めてやれ」
「そこまですれば媛ばかりか、それこそ倭国全土が悶えまするぞ」
「くどいっ」
 ガネーシャは大喝し、厳しい眼で地竜を眄ると
「うぬ、よもや我身を惜しんでおるわけではあるまいな」
 と、さも訝しげなる口調で問い、その小首を傾げた。
「滅相もなき事にござりまする」
「ならば従えっ」
「ハハアッ」
「俺が堰を切ったが合図だ、夜明け頃と心得よ」
「ハッ」
 もはや腹を括った、地竜には微塵とても迷いなどは無かったであろう・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 08:38 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月22日

歴史小説おすすめランキングには日本古代史ってか戦国の漢(おとこ)たちは、いつの時代にも男らしいぜえっ!!やっぱ、そうよね、男は男らしく!!女は女らしく!!これこそが自然よねっ!!うん、いつだって本当のことは単純明快なものさっ!!

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愛媛国縁起

天災
        十
 すでに、媛中が天変地異の真直中であった。
「逃げ出さぬ事、誉めてやるぞっ、パラシュラーマ」
「なぶるなやっ、小僧っ」
「なぶりはせぬ、もはや、とどめだっ」
 ガネーシャは虚空で、ずしっと身体を沈め、上段から飛び込んできたパラシュラーマを見上げもせずに斬り上げた。

ぼむっ!!

 という鈍い音がして、パラシュラーマが大鉈を握ったままの腕が、その付根から離れて飛んだ。
「グハッ」
 腕の消えたパラシュラーマの肩から、腐臭を帯びた邪気が噴き出している。それは、そのまま、どす黒く渦巻いて広がる暗妖雲に変わってゆくのであった。
「仕舞(しまい)じゃっ」
 すかさずガネーシャは、もう片方の腕を斬り飛ばし、パラシュラーマに声を発する間も与えず返す剣で首を刎ね、心ノ臓を突き通して剣をひねり、それを抉り出した。

どっ!!

 と邪気が虚空に噴き散り、それを浴びた四魔軍は悲鳴を上げて崩れゆく。迦楼羅(かるら)は、息の洩れる真紅に裂けた喉を壊れ鞴のように喘ぎながらパラシュラーマの残骸を焼き尽くし、さらに逃げる四魔軍を追撃しようと死力を絞って羽ばたいた。
「もうよいっ」
 と、ガネーシャが引き留めた。
「追い詰めるは邪道ぞ」
 と、大鷲ほどに縮んだ迦楼羅をいたわりつつ御霊屋に戻った。
吹雪は弱まり、吹き荒ぶ風もおさまりつつある。
 御霊屋では、愛が護摩を焚き、巫女達も鉦鼓を打ち鳴らしては一心不乱に祈り続けていた。
「愛よ、まこと、そちの祈祷は心地よいわ」
 ガネーシャは疲れも見せず上機嫌で笑い、弱り切った迦楼羅を護摩火に入れてやった。
「居心地はどうだ、迦楼羅よ」
「まさに極楽・・、有り難き心地にござりまする」
「んっ、すぐに癒えるわ」
「恐悦至極に存じ上げます」
 迦楼羅は護摩火の中に翼をたたんでうずくまり、二度ばかり首をひねって眼を閉じた。いかにも心地良さそうであり、護摩を焚く愛も、当然ながら感得しては嬉しそうに微笑み、さらに極上白檀の護摩木を燃べて手を合わせた。
 ガネーシャは、いかにも慣れた仕草で素早く甲冑を脱ぎ、盃を片手にくつろいでいる。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:20 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年04月21日

ガネーシャとパラシュラーマの死闘すなわち大時化ってことらしいぜっ!!うーん、なるほど・・、そういうことだったのね・・。らしいね・・、昔の人の想像力って、マジでたくましいよね。見倣わなくちゃ。

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愛媛国縁起

天災
         九
「迦楼羅(かるら)、もうよい。愛の屋敷に戻って護摩火にあたっておれ」
 かの姫は極上の霊力をもっておるゆえ、傷もすぐに癒えようぞ・・。
 ガネーシャは、猛り狂うパラシュラーマでさえ眼中にないのか、迦楼羅を気遣っている。
「なめるなやっ、ワッパめがっ、わしが敵ぞっ」
 パラシュラーマは、ますます荒れた。迦楼羅は、もう堪える事ができず徐々に縮み始めているが、喉を破られた荒い息づかいのまま火炎を噴いて、辺りの邪神や邪鬼どもを焼く事は止めない。
 ガネーシャは
「四魔どもは崩れた、無理をするなっ」
 とまで叫んだが、すぐにパラシュラーマに向きなおり
「暫時、遊んでやりたかったがな・・どうにも時が許さぬようだっ」
 と咆哮するや、ぎらりと剣を抜き放ち、息を整えつつ飛びかかった。この期におよんで迦楼羅は、どうでも戦線離脱などしない決心なのである。それを察したガネーシャは、もう一気に決着をつける心づもりなのである。

「往生せいっ」
 とは、ガネーシャ得意の突撃であったろう。
パラシュラーマは辛くも剣で受け止め
「死ねやっ」
 と、片手持ちの大鉈を振り下ろした。
その手首をガネーシャは片手で抑え
「少しは強うなったか」
 と笑み、どかっ、と腹を蹴ってパラシュラーマを中空五里余も飛ばした・・、というすさまじさであった。

 この時の現世は、ついに、すさまじいばかりの猛吹雪に変わっている。ガネーシャとパラシュラーマが激しく斬り結ぶたびに神鳴(雷)が轟き、夜空を引き裂く閃光が走り、すさまじい地響きをたてて落雷した。それは石鎚山のあちこちに落ちて、太古よりの杉や桧、欅や銀杏の巨木が立ちながらに裂けて燃えた。
 真大神ガネーシャと大邪神パラシュラーマが虚空で激しく飛び交い、刃を交わすごとに天然が荒れ狂い、その気魂が暴風と化し暴雨と化し暴雪と化して現出するのである。

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