2009年05月31日

邪馬台国の物語・・いよいよ大詰めだね。

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愛媛国縁起

泡沫(うたかた)
        六
「さて、頃もよし。参ろうか」
「はっ」
 まずは機敏に都祢那賀(つねなが)が応じ、愛が
「はい」
 と和した。
「後の者。見送りなど無用だ。新しき媛国の門出ぞ。そのまま飲んで祝うておれ」
 ガネーシャは覇津華雅(はつかが)や楓(かえで)達に申し渡し、都祢那賀と愛だけを従えて外へ出た。

 見上げる空は淡い青をわずかに残して鮮やかな橙色と赤を混ぜ合わせ、暮れなずんで薄雲を染めている。いかにも極楽浄土を想わせる、そんな天空なのである。
「迦楼羅(かるら)っ、こよっ」
 迦楼羅の傷は癒えていた。
ガネーシャと二人を乗せた迦楼羅は、ゆったりと翼を一振り扇いで空に舞い上がった。
 目指すは、わざわざ真坐阿が寄せて鎮まる瀬戸内海であろう。
「真坐阿(まざあ)様とは、内海におわしますのか」
 都祢那賀が愛に尋ね、不意を問われた愛は、不可思議げに小首を傾げて応じた。
「媛と愛を案じてな、華氏真志(かしまし)達を伴うて、はるかなる大海より媛ノ浜沖まで寄せておられるのよ」
 と、愛にかわってガネーシャが教えたものである。
「まあっ、有り難しっ」
 愛は無邪気に喜び、かたわらの都祢那賀は、さらに問う。
「いったい、どのような大真神様におわしますのぞ」
「はい。大白鯨神様におわします。天地が生まれたばかりのいにしえに海の底を圧し上げなされて陸を創りたもうた大神様にて、この伊予は二名島なども、真坐阿様がお創りになられたものにございます」
 こちらは愛が知り尽くしていよう、嬉々として応えた。
「ほう」
 そんな話を乗せ、迦楼羅は、つとめてゆっくりと飛んでいる・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 15:07 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月30日

歴史小説おすすめランキングってか、日本古代史には邪馬台国の物語だね。

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愛媛国縁起

泡沫(うたかた)
      五
「ガネーシャ様っ」
 愛が床を叩いたのと、都祢那賀(つねなが)が愛の細い肩を抱き寄せたのとが同時であった。
「あっ」
「それも一興。されど」
 都祢那賀は、愛の細肩を抱く手に力を込め・・
「まずは酒と」
「と・・」
 ガネーシャは、わくわく、と身を乗り出して訊いた。
「その真坐阿様なる大神様に御挨拶するが先でしょうな、・・これの」
 と、わずかにあがらう愛の黒髪に口をつけてから
「大切な大神様の、一柱におわします、と察する」
 そう云って身体をひねり、両手でさらに抱き寄せて、ふと小首を傾げて愛を見つめ、ふっ、と笑みを浮かべたか、と思いきや、ゆっくりと顔を近づけ口吸いした。
いかにも堂々として清々しくもあり、固唾をのんで見守る一同、・・・声もない。
もはや愛も逆らわず、それを受けつつ眼を閉じた。

 その閉じた眼から温かい涙が溢れ出し、二人の重なる口許を濡らした時、都祢那賀は舌で拭ってから離し・・
「もう泣くな。そちには笑顔こそが似合う」
 などと云うのである。
「・・はい。もう・・もう泣きませぬ」
 愛は、泣きながら微笑んだ。
「ほう、ほう」
 ガネーシャは手酌で盃を干してから、奇妙な声を出した。
「いやはや、これは」
 と天井を仰ぎ見て・・
「さても似合いの夫婦だわいっ、のう、みなっ」
 おそらく、はるか天空のに憩う主神々の御霊に叫び上げたものであろう。
 その後、暫く酒宴が続いている。覇津華雅(はつかが)も、さも慣れぬ手つきで楓(かえで)に酌してやった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 11:40 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月29日

三三九度(さんさんくど)の原型を観る・・。

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愛媛国縁起

泡沫(うたかた)
      四
 都祢那賀(つねなが)は頓着もせず、これも片手で、肘を張り高々と盃を傾けて、ぐいっと一息に呑み干してしまったものであった。
「契りの酒とは」
 そう云って盃を愛に渡し、かつ片手で御神酒の入った酒壷を取り上げ・・
「旨いものだな」
 と、微笑しつつ注いでやった。
愛は畏まって両手で受け、護摩火に捧げるような仕草で一礼し、次いで都祢那賀に捧げるように一礼してから、その、ぽってりと整った口許に運び、三度に分けて干した。
「旨いか」
「・・はい」
 愛は微笑しつつ、きっぱりとうなずいて応えている。
阿呆な話で、これが夫婦契りの言ノ葉であった、という。
 楓(かえで)は血相を変えたが、覇津華雅(はつかが)がすかさず
「重畳、重畳っ」
 と大音声を発して抑えた。
戦場錆びているだけに、割れるほどの大声であり、楓などは思わず両手で耳を塞いだ。

「おうっ、めでたいっ」
 と、上機嫌で叫び返したのはガネーシャであった。
「確かに見届けたっ」
 とも云った。そして、護摩火を抜け出し・・
「俺にも馳走せいっ」
 と、二人の前に、どっかり、と腰を据えたあたり、神とも思えぬ真大神様である。
「愛よ、うぬらを、どうでも連れてゆかねばならぬ場所がある」
「いずこにおわしましょうや」
 愛は、ガネーシャの盃に酒を満たしつつ訊いた。
「海の底だ」
「あぁっ、真坐阿(まざあ)様っ」
 酒が少しこぼれて、ガネーシャの膝を濡らした。
「すっ、すみませぬっ」
 愛が拭おうとしたものを、ガネーシャは
「よい」
 と微笑して止め
「夕暮れるには、まだ間がある。まずは酒だ。のう、都祢那賀よ」
「・・・はあ」
「何だ。うぬらしくもない。さては、うぬ・・」
 と都祢那賀の顔を覗き込み
「和合するが先かよ」
 などと、からかっている。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 12:41 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月28日

邪馬台国愛媛説のもとともなった結縁ですね?!

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愛媛国縁起

泡沫(うたかた)
       三
「やはり、まだ痛むのですか、・・・都祢那賀(つねなが)様」
「・・・楽しみなことだな」
「えっ」
「今宵がよ」
「・・・知りませぬっ」
 愛は白磁のような頬を朱に染め、楓(かえで)が走り込んだ奥へと、こちらも、ぱたぱたと駆け込んでしまったのだった。
「若様、これは、どうやら気風が違いまするなあ」
 お国(邪馬台国)とは・・。
などと覇津華雅(はつかが)が云った時・・
「爺様っ」
 都祢那賀は、思わず叫んでいる。
しかし、すぐに気を静めたらしく
「はよう、仲直りなさりませ」
 と微笑してみせた・・。

 やがて、御霊屋の護摩壇(ごまだん)の火中におわします、ガネーシャと迦楼羅(かるら)の御前にて都祢那賀と愛の祝言が、これは恭しくも粛々と執り行われた。
 祭壇に供えた純白の素焼皿を、まず愛が手にとって都祢那賀に持たせ、それにしずしずと御神酒を注ぐのである。
 都祢那賀は胸を張り、ただし胡座をかいて座している。
これはどうであろう、祝言の席、しかも真大神の御前にて、いかにも行儀が悪い。
 二人の後見にある楓は
「はぁ」
 と小さく溜息などついて覇津華雅を横目で、ちらり、と見やり、覇津華雅とても、いささかばかりは気がとがめたらしい・・。
が、ここは知らぬ顔で黙殺した。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 10:54 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月27日

古代石鎚山にも春爛漫ってところかな・・。

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愛媛国縁起

泡沫(うたかた)
       二
「爺様、云い過ぎたな。はよう後を追うて、頭を下げて謝りなされ」
 いつの間にやら、いがみ合う覇津華雅(はつかが)と楓(かえで)の後ろに、都祢那賀(つねなが)と愛が立っていた。
「まあ、都祢那賀様の御翁(おじい)様にあらせられますか」
「まあな。幼少よりの傅人(めのと)殿よ。名を覇津華雅と申す、まことの頑固爺様だ」
「まあ」
「わっ、若様・・、初のお目通りに頑固とは手ひどい」
 すぐに覇津華雅は愛の前に片膝をつき・・
「初にお目にかかりまする。此度は、都祢那賀様との御祝言(ごしゅうげん)、傅人として恐悦至極に存じ上げ奉りまする。まずはめでたき御席なれば姫様と貴邦に対する詫事(わびこと)の数々、後ほど如何様(いかよう)な責めをも、この老体一身にて受ける覚悟にございますれば、何卒、何卒、今は堪えて下さりませよ」
 と、礼を尽くして言上した。
「そのようなお気遣い、もはや無用です。されど・・」
「はあ」
「やはり、楓には謝った方がよいかと思いまする」
「いっ、いやそのっ」
「爺様、観念なされませ。何なら爺様手ずから、楓殿をお慰みして差し上げなされ」
「わっ、若様っ、そっ、そのようなはしたなき事をっ」
 さすがに愛は無言・・、その顔を伏せて身をかたくしている。
「何が、はしたないものか。のう、愛」
「きっ・・聞こえませぬ」
「これはしたりっ、ますます気に入ったわっ」
 都祢那賀は哄笑し、しかし、すぐに声を抑えて、わずかに眉をひそめた。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:21 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月26日

戦国武将の恋愛や婚礼などは、いつの時代にも難しくてややこしいのねえ・・。

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愛媛国縁起

泡沫(うたかた)
         一
 回向(えこう)のうちに時が過ぎ、やがて祈祷を終えた頃には、屋敷内に祝言(しゅうげん)の支度が整っていた。
 が、まだ互いに激しく云い合っている者達がいる。
なんと、楓(かえで)と覇津華雅(はつかが)であった。
「なるほど、愛姫様は貴邦の女王様には違いなかろうがな、娶るは、いずれ弊国の王ともなる若様ぞ。何より、まず男をたてるのが、古来よりの男女の道のならいじゃわいっ」
 戦場灼けした厳つい面つきで泡唾(あわつば)飛ばす覇津華雅なのである、が、こなた楓も気圧されてはいない。
「左様な事、聞こえませぬ。そう云う貴国とて、卑弥呼様なる女王を奉っておられるではありませぬかっ。古来、女が児を産み育てる性なれば、さあ、女こそを尊びなされっ」
 なるほど、どうやら互いのお国柄の違いを云い争うているらしく、どちらもが半歩たりとも譲らぬ気配であるのは、これ無理もなかろう。なにせ、それぞれが自国の王子と王女の、すなわち傅人(めのと)と乳母(うば)なのである。
「これはしたりっ、楓殿には、きつい横車(よこぐるま)じゃわい。いかい女性(にょしょう)におわしまするなあっ」
「いかい、とは何ぞやっ、いかい、とはっ」
「そなたのように猛々(たけだけ)しい者を差して云う言ノ葉じゃわい。なかんずく、楓殿には、男女の睦言(むつごと)とて交わした事もなければ、ついに児(やや)をお産みなされた事もなし、と聞く。左様然らば」
 とまで覇津華雅が叫んだ時、とうとう楓は、わっ、と顔を覆って泣き出し、奥へ走り込んでしまった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:48 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月25日

大聖歓喜双身天王すなわち聖天さん、本当に心から有り難うございます。

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愛媛国縁起

入我と我入
         二十六
 やがて都祢那賀(つねなが)は意を決したのであろう、歯噛みしつつも、その充血した眼を開いた。
「及ばずながら・・たった一人の女を、愛が笑顔を守り通す所存にて、倭国なる地の平和の事はもはや知らず」
「んっ、よきかな」
「邪馬台の再興なども、かの地にて生き残りし者にゆだねまする」
「云わずもがなっ」
 もうガネーシャは、殊更の上機嫌で叫びあげたものである。
「いっそ儚き人世なればこそじゃ、すなわち和合をもって尊しを成すのぞっ」
 なるほど、まずは一組の男女が互いを愛しみつつ和合するところから、人の世のことは成ってゆくものであろう・・・。

 ガネーシャは大満足で微笑し、都祢那賀は、あらためて過ぎし日々のあれこれを想い出しながら手を合わせ、かたわらで一心不乱に祈祷する愛の声を聴きつつ、今は、ぞの今生に是非も無き那薙や殊里達の菩提を念誦した、というのである。

【古代の石鎚に住み暮らしつつ、この『愛媛国縁起』なる物語を書き綴り遺した乃麻埜=のおの、という田舎文学者も、その厚き信心もて大聖歓喜双身天王を拝み奉りながら、その有り難くも至福なる日々を過ごし逝んだに違いない。まこと、この日本という国に先祖代々を重ねた者ならでは、ひたすら仏神にすがる素直な健気さこそが、ついに目映く美しいものなのである。】

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:33 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月24日

入我我入とは、これ真言密教の極意ともいう・・。

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愛媛国縁起

入我と我入
         二十五
「都祢那賀(つねなが)よ、供養するならば」
 ガネーシャは真顔で・・
「邪馬台国のすべても想うてやれ」
 と、これは誰でもが驚愕するであろうことを、きっぱりと云い始めた。
「邪馬台国も卑弥呼(ひみこ)も奈良夜(ならや)も那薙(なち)も、うぬの父母もな・・、みな、死に絶えたのぞ」
「まっ・・まことなりや」
「嘘など云うものかよ。羅刹(らせつ)という大邪神を拝みそこのうて、とって喰われたわ」
「そっ・・それで」
「何と云う事もない。俺が迦楼羅(かるら)とともに飛来するまでに、邪馬台国そのものが崩れておった。然(さ)りとては、案ずる事もないわ。興っては滅し、滅しては、また興る。およそ逞しきは人間どもよ。まったく、うぬの想うてきた通りだ」
「・・・・・・」
 都祢那賀、無言しきり・・。
「乱を滅せんがためにこそ覇を唱えんとしてきたうぬなれば俺の申す事ども、皆まで云わずとも解るはず。今後、うぬが寿命を全うし尽くす間に、うぬが成すべき事もな」

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 08:22 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月23日

歴史を知り、おのれを知れば、まさに百戦あやうからず・・よのう。

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愛媛国縁起

入我と我入
         二十四
 そんな事を想う都祢那賀(つねなが)の脳裏にも、ガネーシャの想念が入ってきたらしい。
「都祢那賀よ、いやはや、妙に懐かしくもあるのう」
「・・・何と」
「まだ気付かぬのか。うぬは俺ぞ。すなわち俺は、うぬじゃ」
「・・・・・」
「想念にて、うぬの実母である撫子(なでしこ)を抱いた。その胎内には、俺の気魂を満たしてやったものぞ」
「何と・・」
「うぬ、いやさ、俺の気魂に怖じた卑弥呼(ひみこ)の、あれは面白き見物であったわ」
「・・ガネーシャ」
「うむ、これをして、すなわち入我我入の秘法とも云うのよ」
 うむ・・、とて都祢那賀は、低く呻いた。
「・・都祢那賀様・・、やはり、お傷が痛みまするのか・・」
 いざ拝もうとしていた愛が、都祢那賀の表情を見やり、心配そうに問うている。
「いや、痛みはない。清らに祈ってくれ」
「でも・・お顔が」顔色がすぐれませぬ・・。
「大事ない、早うせよ。亡者どもを待たせては、黄泉への道ゆき、迷うばかりぞ」
「御意のままに」
 愛は微笑し、静かに眼をとじて呼吸を数え始めた。気を凝らして高めてゆくのである・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:13 | Comment(0) | 連載長編小説 当ブログ用

2009年05月22日

戦国武将の恋愛小説って感じで、大谷吉継と本多平八郎は、まさにおすすめよ!!

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愛媛国縁起

入我と我入
          二十三
「はい」
 愛は、都祢那賀(つねなが)を上目に見つつ、こっくり、と頷き、護摩壇の前に案内して、燃える護摩火を細い指で示しながら
「ガネーシャ様と迦楼羅様が憩うておられますゆえ、受難せし衆生一切、まこと、たちまちの内に供養されましょう」
 と微笑んだ。
「・・そなた」
「えっ」
 愛が小首を傾げたのは、ふとガネーシャの癖が移ったものであろうか・・・。
「美しいのう」
「おっ・・お戯れを」
 怒って見せた顔が、もう真赤になっている。
その愛の眼が、きらきらと潤んで都祢那賀を見上げ、さも不思議げに見つめていた。
「初手から戯れるほどに、惚けてはおらぬわ」
「えっ」
 愛は、ぱっ、と眼を見開き、忙しく都祢那賀の顔と護摩火を見やった。

 この男達の云う事といい、顔つきといい、似ているどころか、うり二つではあるまいか・・・。
「さあ、はようせい」
「えっ」
「供養の祈祷だ」
「ああっ・・はい、では勤めまする」
 気恥ずかしげに慌てる愛を、護摩火が揺れて、くっく、笑っている。
「そっそのような事ではありませぬ」
 愛は護摩火に向かい、独り言つ。
「何だと」
 都祢那賀は、驚いたような顔で訊いた。
「いえ、何でもありませぬ。では始めまする、そこに座って」
「うむ」
 巫女とは・・、いずれも解し難き者どもだな・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 10:10 | Comment(2) | 連載長編小説 当ブログ用