2010年06月12日

ついに物語の舞台はユニバースさんへ突入っ、ますますヒートアップする山猿の勢いは、もう誰にもとめられないっ?!合掌

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北新地物語

(ホンマに、もう、なにがミリタリーデザインのユーズド仕様やねんっ。ちょっとオシャレやなあ、とか思うて買うたったばっかりか、あこがれの北新地への御共にと選んでやった恩も、あっさりと忘れやがって、これでもかあっ、ちゅうぐらいに手こずらせやがってっ、行く先々でエラい恥かかせてくれたなあっ。マジで菅さんて四国の山猿そのまんまやったわねえ・・、ホントにメッチャ田舎モン丸出しやったわよねえ・・、会長さんの手前があるから黙ってたけど、もう二度とゴメンやわあ・・、じつはウチもぉ・・。とかって、あとあと北新地中の笑いモンになるんはワイやけど、そら、ぜぇんぶ、お前のせいやからなあっ、おおっ、分かっとんのかっ、コラアァァァッ。それでも見捨てずに、こないして大事そうにオンブしてやっとるワイの有り難さを、よぉに考えてみい。ええか、子供でも親の背中みて育つんや。お前も、そろそろ聞き分けよぉにして、ええなっ、次いくユニバースさんでは、ええ子にせんならんのやでっ。ワイが名刺と思うたら、開けるチャックはここですよぉ、ワイが本をと思うたら、ここからすぐに出せまっせぇ、と素直に開けさすんやぞっ。ええなっ・・、おお、よしよし、分かったんか、ええ子や、ええ子や、ネンネしなあぁ。)

 もう、ええ加減くたびれてきたズタボロにしか見えないショルダーバッグを、ちょいと左肩であやしつつ、迷子になりゃしないかしら山猿ちゃん、とて時々にふり返ってくれる麗羅ママさんと、その先を知らん顔して、さっさと早足で歩いてゆく会長の背中を、いそいそと追いかける山猿なのだった。
「先生、ここですわ、足元の階段、気ぃつけとくなはれや」
「あっ、はいっ」
「くの字に曲がった入口が、なかなか面白いでっしゃろ」
「はあ、ホンマ、オシャレですねえ」
「会長さんと菅先生、ご到着よぉ」
 麗羅ママさんの歌うような声とともに、またまた黒服の兄ちゃんたちが一斉に、きょーつけぇっ、して出迎えてくれた。
待ちうけていた女の子たちも、いらっしゃいませえ、よ〜こそぉ、お荷物どうぞぉ、などと口々にさえずりながら、店のホールで自動演奏する電子ピアノの鍵盤の動きに気をとられていた山猿に、優しくまとわりついてくるのである。

(わ〜いっ、またまた新たな極楽やあ〜っ、ここの天女や観音さんも、こりゃまた、別嬪さんばっかしやがな〜っ、もう、どないでもしてちょうだいかあ〜っ、ワイの全部、あげるでえ〜っ。)

 ついさっきまでショルダーバッグに手こずったことなんか、いっぺんに忘れてしまった山猿が、いざ踏み込んだ店内は、たとえば贅沢のかぎりを尽くして上品なログハウスみたいな壁と、いっそう明るくやわらかな照明にかがやく、やはり浮世ばなれした別世界なのだった。
 こうした華やかさのなかで、麗羅ママさんの美貌は、かすむどころか、ますます艶めいて眩しく、いっそ着物姿の女神はん降臨、とでもいうほかにない神々しさすら漂わせている。

(あちゃあっ、これまたホンマモンやっ、これぞ北新地のホステスさんやあっ、どーですか、この、ド迫力っ、たまらんのうっ。)

「ほな、先生、まずは席についてから、落ち着いて、本とお名刺出しなはれ」
「こちらですぅ、どうぞぉ」
「はっ、ありがとうございますっ、御世話になりますっ、すんませんっ、失礼しますっ」
 奥の特等席に案内される通路ぎわにも、ズラリ並んで深々と一礼する黒服の兄ちゃんたちに、一々、精一杯のお愛想ふりまきながら、まるで赤ん坊をあやすかのようにショルダーバッグを抱えた山猿がゆく。

 それは、まるで花咲く森の道で熊さんにであったような気もしたし、森の木漏れ日を浴びて仲良く手をつないだヘンゼルとグレーテルになったような心地もしたし、アルプスの少女ハイジに会いにきた着物姿のクララさんのあとを、ちょっと恥ずかしそうに追いかけるペーターになった気分でもあったろう。

「先生、上座へどうぞ。付いてくれる女の子ぉが揃うたら、まずは乾杯しましょうや、ここがユニバースですわ、どうですか」
「どないも、こないも、そらもう最高ですねえ」
「先生、それ吉川でも岩室でも云うてはりましたでえ、どこまで最高ですねん」
 あはは、と笑う会長さんが、よりいっそう御機嫌さんなのはナゼなのか・・、その答えを知りたい方は、ぜひ読みつづけていただきたい。
すなわち、いわゆる乞う御期待なのである・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 17:57 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

しつこくお断りしておきますが、この物語は完全なるフィクションであって、ふと実在の人物を連想されたとしても、あくまで架空の人に間違いありませんよっ。合掌

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北新地物語

「先生、じつは僕はね、この岩室ビルのエレベーターで送り迎えの女の子ぉと二人きりの時には、ディープキスしますねん」
 別嬪さんに囲まれて、ホワワァァン、と舞い上がっている山猿に、またもや会長が真面目な顔で云うている。
「はあ、そら、ええですねえ」
 とて、チラチラッと女の子たちを見ながら応じたものの・・・

 ホンマ、うらやましいなあぁぁ。

という一言だけは、かろうじて呑み込んだ山猿であった。だって、そうであろう。そんなこと口走ったなら、まるで、おねだりしてるみたいではないか。
 これホンマに美味しいですねえ・・、という本音が、だからお代わりちょーだいね、といういやしさに繋がりかねないことは、あし田さんにて、しっかり学習済みの山猿なのである。

「もう一階到着ですぅ、ホンマ、お名残惜しいわぁ」
 云いつつ、さっ、とエレベーターのドアを抑えたれんさんの手も、そらもうアンタ、思わず溜息が出るほどの美しさで山猿の目に染み込んだし、いわゆるオープンセットよろしく、いっそう華やかなるネオンの群に照らされた通りには、目いっぱい張り込んでますのやわあっ、とて着飾った天女はんと観音さんが、一張羅に違いない背広がちっとも似合わないけれど、お金やったらナンボでもあるねやでえっ、と云いたげなオッチャンたちを引き連れて忙しなく行き交っている。そんな、すでにホロ酔い気分の北新地には、ビシッ!と背筋を正して辺りを見渡しながらインカムをいじる黒服の兄ちゃんたちこそが、山猿の視界に映る画面を、ほどよい緊張感もて引き締めているのだった。

 はーい、照明、山猿さんにスポットォ、音声レベルOK、ほな、あこがれの北新地の夜景シーン27、本番いきまぁすっ!ん〜っアクションッ!!

「会長さん、菅先生、ホンマにありがとうございましたぁ。きっと、また来てくださいね」
「今度は歴史のお話とか、いっぱい聞かせてくださいね」
「いただいた御本、しっかり読ませていただきますぅ」
「はいっ、ホンマにありがとうございましたっ」
「みな、ちゃんと読書感想文を書いてなあ、先生に送るんやで」
「いやあ、そこまでしてもらわんでも、ええですよぉ。ちょっとでも楽しんでもらえたなら、それだけで嬉しいことですわ」
 感想文なんかよりラブレターのほうがええのやでぇ・・、などと云えるはずもない山猿には、じっさい、台本なんか渡されておらず、ようは1シーンごとをアドリブで切り抜けるしかないのである。

「あっ、冬子ママさんっ、どうもっ、ご無沙汰しておりますうっ」
「こちらこそ、今晩は来てくださるて聞いてたのに、おそなってしもてゴメンなさいねえ」
 岩下志麻さん、いや、冬子ママさん登場なんてシナリオのなかになかったんちゃいますかあ、会長さんっ!
「ママさん、こちらが菅先生ですわ、先生、ここのオーナーの冬子ママさんです」
 本と名刺、お渡ししときなはれ・・、と会長がささやいている。
「どっどうもっ、かかっ菅ですっ、初めましてえっ、今晩はすっかり御世話になりましたあっ」
 それこそ慌てまくりの山猿は、断じてホントのボロボロではないショルダーバッグを片手に、あし田さんにてヒモのとれてしまったチャックをさがそうとしたのだが、これが簡単には見つからない。

(んもうっ、またかいなっ、まだ怒ってんのか、お前、はよ機嫌なおして、すんなり本と名刺を出さしてくれよ。あぁいっ、どごが正解のチャックやねんっ、ホンマにもうっ。)

 もう、恥だの何だのと云うている場合ではない。
その場にしゃがみ込んだ山猿は、バッグを地面に放り出してはひっくり返したり、右やら左やらにまわしてみたり、目についたチャックを片っ端から開けては、ここ違うっ、これも違うっ、ほなここかなっ、やっぱり違うたあっ、ハハァン、これやろ・・、また違うんかいっ、とバタバタしまくったのち、チラリ、周囲の皆さんを見上げて、その半ば呆れたような様子には、さらに舞い上がってしまった。

「あはは、すみませぇん、なんや、もう、すっかり酔うてしもてぇ、いや、ホンマに最高のひと時やったもんやからぁぁ」
 精一杯にひきつった愛想笑いしながら、ようやく取り出した本と名刺を、どうにか受けとっていただいたのだった。
「まあ、ほんとにすみません、有り難く頂戴しますぅ」
 さすがに岩下志麻さん、もとい、冬子ママさんは如才なくして満面の笑みをくださり、さも大事そうにして一礼してくれた。
その間、北新地のアスファルトの上に転がしっぱなしのショルダーバッグを・・・

 お前なあっ、みんなが見てなかったらけっ飛ばすとこやぞぉっ。

と睨みすえてから、しかし、さも何ごともなかったかのように拾い上げてやった山猿であった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 11:38 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

2010年06月11日

この物語は、まったく完全なる架空の、あくまで根も葉もない作り事であることを、重ね重ね明記しておきます。皆さん、ぜったいに鵜呑みにはしないで下さいね。合掌

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北新地物語

「おお、麗羅ママ、先生、次いくユニバースの麗羅ママですわ。ママ、こちらが菅先生や」
「初めまして、菅先生、麗羅ですぅ、やっぱりブログのお写真より、ええ男はんやわあ」

 麗羅ママさんの公式にモノ申す、多岐川裕美のあとに推定年齢をマイナスせなんだら、うちの若いモンが黙っとりまへんで!!

という抗議メールを、つい先ほど受信したばかりの山猿としては、しかし、ぜんぜん慌てず・・・

 あれはねえ、まだまだ未完成ですねん。これからですわ。

と云い切る度胸は無いのであり、ここに謹んで・・

上品かつ豪華なる着物をビシイッ!!と着付けた多岐川裕美−推定年齢33

と、まずは訂正しておくものである。
「ほな、先生、わたしも乾杯さしてくれますかぁ」
「えっ?!あっ、はいっ」

(レイラさんかあ、こりゃまた、どうだい、えっ、のぉの助ぇ、いっぺんに酔いも忘れるほどの別嬪さんやないかいなぁぁっ。いや、ホンマ、この北新地っちゅうとこは、いったいぜんたい、どこまで極楽やねんっ。マジで日本中の別嬪を、かっさらってきとんちゃうかあぁぁぁっ。なあ、黒服の兄ちゃんたちぃ、君らのようになるには、やっぱし厳しいオーディションとか、メッチャむつかしい採用試験とかあるんかあ?!ついでに応募資格とかも、ワイに教えてくれやぁぁぁぁっ。なあ、頼むわ、兄ちゃんたちぃぃぃぃっ。)

「ほな、れんちゃん、今度また、ゆっくり来るわ。ええな、結婚の話、真剣に、よう考えとってくれや、なっ、ホンマやで」
「はい、はい、ちゃんと考えときますぅ。先生、また、ゆっくりと遊びに寄ってくださいね」
「はいっ、必ずっ、そうできるように頑張りますっ」
「おっ、そうや、れんちゃん、今夜は先生に特攻隊を頼むでぇ。この店の選りすぐりを出してや、どうや、みな、志願してもええで」
「えっ?!いやっ、特攻隊ならっ、まず自分が志願いたしますっ」
「はは、違いますがな、先生。この世界でいう特攻隊ちゅうのんは、先生が泊まってはるホテルの部屋に玉砕覚悟で突っ込む女の子ぉですわ。なんやったら、先生が御自身で辞令出さはりますか?」
「ええっ?!あはあっ、いやっ、あきませんっ、そんなんしたら、ぜったい、あきませんよっ。ホンマにっ、ダメですからねっ」
「あはは、先生、御安心を。そんな子ぉ、うちには置いてません。もう、イヤやわあ、会長さん、おふざけが過ぎますよ、ホンマに、ねえ、先生」

(アッブなあ・・、ホンマ、このオッサン、どこまで本気か分からへんがな。ますます気ぃ引き締めとかなんだら、マジで四国への生還は叶わんぞおぉぉぉっ。)

「あっ、先生のお荷物やら、わたしがお持ちしますわ」
「いえっ、ダイジョーブですっ。こないなボロ、いや、重たいモンを持ってもらうわけにはいきませんっ」
 ほんとに新品である山猿のショルダーバッグを持ってくれようとした麗羅ママさんの手は、それだけで目が痛いほどに白く、清い。 そんな手に、決して使い古しではないにせよズタボロにしか見えないモノを持たせては、たちまち汚れ・・、いや、折れてしまいそうに重たいのであるから、もう命懸けで守った山猿であった。

「そんな、先生、わたし、けっこう力持ちなんですよ」
 エレベーターで一階へ降りる間の至福とは、これ、どうであろう。れんさんはじめクラブ岩室の女の子たちに麗羅ママさんも参加しての超豪華絢爛なら、もう山猿、クルクルのパアで窒息寸前なのである。しかも、いざ通りへと踏み出したとたん、さらなるドラマが、いよいよ背骨だけでなく腰骨もとろけかけたる山猿を待ち受けていたのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 16:32 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

『小説 織田有楽斎』絶賛発売中!!ですよ〜。かの信長の実弟として、しかも、現在の茶道にも堂々たる有楽流の開祖でもあります、その波瀾万丈の一生涯を見逃すなっ!!合掌

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 私事にて恐縮ですが・・・

『小説 織田有楽斎』

 学研M文庫より絶賛発売中!!です。

 たとえば通勤はじめ旅のおともに、あるいは休憩時間の気分転換やトイレでの一服タイムに、そして、ご自宅の本棚やテーブルの上のアクセサリーとして、また、お出かけするお車のダッシュボードにもっ!!

 ぜひ、そらもう何冊でも買うたって下さいねっ。

『小説 大谷吉継』

『小説 本多平八郎』

合わせてアクセサリーにすれば、もっとステキな日々が、貴方におとずれることでしょう。合掌

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 10:12 | Comment(0) | 芸術に捧ぐ

もう北新地で溺れ死んでも本望やあっ!! とて、じっさい、そうなれるように頑張らなければならないのです。皆さん、よりいっそう熱い御支援、御声援をヨロシクね〜。合掌

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北新地物語

(ほぉぉ、舶来の一級品みたいな生足を、会長さんの好きにさせもて、すかさずテポドンとはのぉ、ええ切り返しやないかい。)

 なにアホなこと云うてるんですかっ、いやらしいっ、ただのスケベな乱痴気騒ぎやないのっ・・、などと目クジラたてる人々も少なくあるまい。

 が、それこそが大間違いやでっ!!
と山猿は云うのである。
 たとえば、映画やドラマの、いわゆる濡れ場を撮影している現場を、よくよく想像していただきたい。出来上がった作品を観るだけなら、あるいは性的興奮ばかりにとらわれればよかろう。だが、監督はじめスタッフは、その映りや出来具合に緻密な計算をし尽くし、また、じっさいに演じる役者さん方は、もてるかぎりの演技力を絞り出す、まさに真剣勝負ってやつに違いないのだ。

 そうして、すなわち北新地の超一流高級クラブというところは、まったく高品質なる娯楽大作を、ぶっつけ本番で撮影している現場そのものなのである。
 むしろ、お客こそが、俳優としての資質とか技量を試されているのであろう。その両方ともが無い山猿などは、お客としてのプロである会長さんによって、その現場に連れてきていただいただけで幸福至極に違いなく、したがって、冒頭より自らを、分不相応ともわきまえているあたり・・、うん、うん、お前もちょっとは賢いやっちゃのう・・、くらいには褒めてもらいたい山猿なのである。

「ゴメンなさいね、お待たせしてぇ」
 れんさんが戻ってきても、会長は紗理奈さんの生足から手をはなさず、しかも、いっそう真面目な顔をして・・・
「いや、先生、僕はねえ、れんちゃんとやったら、今すぐにでも結婚しますで。この子ぉにこそ僕の子供を産んでほしい、ホンマ、これは真剣に思うてますねん。なあ、れんちゃん、どないや」
「はい、はい、嬉しいです。もう酔うてはりますの、会長さん」
「先生、ホンマでっせ、ほんとに僕は、ずっと思うてますねやで」
「ははあ、そら、もう、ホンマに、そういうことなんでしょうねえ」

(エラいオッちゃんやでぇ、しかしぃ、そら、北新地のお客としてはプロ中のプロなんやろけど、どこまで百か分からんかぎり、どこで笑うてえんやらも分からんわい。こんな、ややこしいオッちゃんを相手に、ビシッ、と寸止めで迫真の演技してはる女優さんたち、いや、ホンマ、シビれるほど惚れ惚れするばっかしやあぁぁ。僕も真剣なんですっ、是非とも結婚してくださいっ、そら、今は甲斐性無しのアホですけどっ、ワイはっ、きっと貴女を幸せにしてみせますぅぅぅぅっ。とか云いたいけど、こんだけの天女はんやら観音さんを前にしたら、ついつい目移りしてしもて、どの人に決めたらええのか、う〜ん、迷うなあ。)

などと思いながら、それを気づかれたら大変やでえ、とて作務衣の襟をなおしたり、ふとマイケル・コルレオーネになったつもりで上品そうにグラスをかたむけてみたりする山猿なのである。が、どう転んでも逆立ちしても、どの女の子にも手の届かないことを、すっかり忘れて、いい気なものでもあったろう。

 コラ、コラ、山猿さん、それよりもカンジンなことを忘れちゃあいませんかぁ?

 はい、はい、紗理奈さんの美貌を想像したいんでしょ、皆さん。

(真面目な神田うの−推定年齢14+井端珠里)×おすましさんな平山あや

 じっさい、テレビとかを一切観ない男としては、ここいらへんでギブアップやでぇ・・、とて千春ママさんから頂戴した扇子で、ハタハタ、と自らをあおいでいた。そんな山猿の眼前には・・・

「どうも、今晩はぁ」

(若き日の古手川祐子×絶頂期のアンルイス)+上品かつ豪華な着物を着付けた多岐川裕美

みたいな天女が、またしても、いきなり舞い降りてきたのである。こうした不意打ちには、めっぽう弱い山猿としては、さらに、いっぱいいっぱい、その夢見心地はとどまることを知らずして、さらに加速膨張するいっぽうなのだった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:25 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

2010年06月08日

いやはや、月初めからバタバタしどおしで、暫く、アップのための筆が止まってました。心待ちにしてくれてた皆さん、ごめんなさいね。って云いながら、また数日とどこおりそうな今日この頃です。合掌

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北新地物語

「初めまして、会長さん、先生、紗理奈ですぅ」
「おお、ええ子やな、まあ、一杯やりぃな」
「はぁい、いただきますぅ」
 いや、決して誤解してはいけない。
なにしろ、ここは北新地なのである。底抜けにアッケラカンとした紗理奈さんには、少しとていやらしさなど感じられず、むしろ、ついつい下卑たことを想ってしまった山猿のほうが、恥ずかしさを覚えるほどの見事であったあたりに、まこと北新地に屈指の超一流高級クラブの品位を思い知るべきであったろう。

 むろん、北新地を知り尽くしている会長なら、当然の心得でもあるらしく、すでに触っている手に、ためらいすらも無い。
「ほう、こりゃ、たまげたわ、ええ生足やなあ。先生、僕は生足フェチやって云うたでしょ。こうやって、触ってるとねえ、ホンマに心の底から癒されるんですわ。明日の活力っちゅうもんが、こう、フツフツと湧き上がってくるんですわ。いや、先生、ヘンなふうに誤解せんといて下さいよ。いやらしい意味での、おさわり、とは違いますねん。ホンマ、僕の活力の源ってやつですわ」
「・・はあ、まあ・・、そうなんでしょうねぇ」
「ほら、先生も触ってみなはれ、僕の云うてることが、よう分かってくれると思いますよ」
「はい、どうぞ、先生、御遠慮なくぅ」
 にっこり、微笑みながら紗理奈さんは席を立ち、おフランスで特注したような絶品の生足を、山猿の眼前にさらした。
「えっ、あっ、いやっ、僕はっ、そのっ、いやいや、そういうことはっ、とんでもないですっ、ほんとっ、有り難うございますっ、そやけどっ、そのっ、けっこうですっ、いやっ、もったいなくてっ」
 本当である、山猿は、ほんとに指一本とて触れていないのである。じっさい、紗理奈さんの、あまりの屈託なさが、いっそ恐れおおいくらいに堂々として、山猿を圧倒しつくしていたに違いない。
 したがって、つい手をのばしていたなら、ただただスケベ丸出しにだらしない山猿であったはずで・・、ようは山猿危機一髪の瞬間でもあったろう。

(エラいぞおっ、山猿ぅっ、ようガマンしたあっ、また一つ北新地のカベを乗り越えたのうっ、しゃあけどなぁ、まだまだ油断禁物やでえぇっ、なんせ、お前の本性は、ただのスケベやからなあぁ。)

 ええい、そんなん分かっとるわい!

とて山猿は、さも平然としたふうをよそおっては、また一杯飲んだ。
 ここまで飲めば、かなり酔ってしまっただろなあ・・、などと思うのは、すなわち北新地を知らない人々のカン違い、というよりも、まるでステキな映画の豪華女優陣の真っ直中にいる山猿の、まことの心情を、まるで分かっとらんぞぉ。

(酔うてたまるかいっ、こないな別嬪さんばっかりに囲まれて、酔うてまうなんてもったいないことっ、ぜったいっ、せんぞっ。いやあ、あの時は飲み過ぎてもぉて、よう覚えとらんのですわ、はは、すんませぇん・・、みたいなことには、たとえ死んでもっ、してたまるかいっ。この子も、あの子も、その子も、みぃんな覚えとくぞおぉぉっ、もう生きて二度とは会えへんのやもんねぇぇっ。ここは、まさに現世の極楽やぁぁっ、これがホンマの冥土の土産っちゅうもんやあぁぁぁぁっ。)

「先生、ほら、先生」
「えっ?!」
「写真ですがな、みな、先生といっしょに写りたいっちゅうて」
 などと会長は自らの携帯を構えており、わたしからねぇぇ、とて梓さんが寄り添ってくれていることにも気づかなかったのは、先のことを思い込んでいるがための、うっかり、ってヤツであり、本当に山猿は、酒に酔っているのではなく、北新地にこそ酔い尽くして、もうデレデレ、いや、ヘロヘロなのだった。

「いやあ、ホンマ、気に入ったで、紗理奈ちゃんの生足も絶品や。さすが、れんちゃんが気ぃきかして送り込んできただけあるわ。なあ、紗理奈ちゃん、君は、れんちゃんの秘密兵器、最終兵器っちゅうやっちゃな」
「はい、わたしはテポドンです」

 さらっ、と云い切り、ニコッ、と笑った紗理奈さんの別嬪ぶりを知りたい貴方は、どうぞ、この続きをお楽しみに・・。
 などと、さも山猿が思わせぶりなのは、さて、いったいぜんたい、どうしてでしょうか?!
 その答えを知りたい君も、つぎのアップを乞う御期待なのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 22:12 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

2010年06月03日

さても本日最終アップです、北新地の皆さん、また今夜の仕事が終わったら、チラッとチェックよろしくです。合掌

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北新地物語

「先生、あきません。抜いたら、ダメですよぉ」
「えっ?!」
 澪さんの袖のしつけ糸をつまみかけていた山猿は、れんさんの声に、ビタッ!と手をとめた。
「もう、会長さんも会長さんやけど、ふたぁりとも、ちゃんと、云うたげなアカンやないの」
「えっ、何ですかあ?!」
「はは、すんません、先生。その糸を抜くっちゅうことは、新しい着物を買うたるっていう約束なんですわ。それもね、そんなん知らんかってん、では済まされまへん。北新地では、もう絶対というてもええ、まあ、客と女の子ぉの、粋なルールってやつですわなあ」
「ええっ?そっ、そうやったんですかぁ」
 精一杯の笑みをうかべつつ、まさに背筋に冷や汗の流れる山猿なのである。

(アブナい、アブナいぃ、まったくぅ、このオッサン、どこまでが百やら分からへんがなぁ。もしも、れんさんが止めてくれなんだら、もう一巻の終わりやったでえ。たった糸クズ一本で、それこそトリコミ詐欺やらかした上で自己破産せんならんとこやったぁ。)

「そやけど、先生、どうですか、この子ぉら、先生がくると聞いたら着物を着付けて、わざわざ、しつけ糸まで付けてくる。まったく、男冥利につきる、っちゅうもんやないですか」
「いやぁ、なるほどぉ、ホンマにぃ、なかなか洒落た決め事ですねえ、さすが北新地やなあ、いや、まったく、恐れ入りましたぁ」
 などと云う山猿の、その声は半ば裏返って震えており、必死につくろう笑顔は、もう見るも哀れなほどに引きつっていた。

(なにが男ミョ〜リやねんっ、そら、お金持ちやったらできる道楽っちゅうもんやでえっ。ワイなんか、しつけ糸一本で首くくらんならんがなっ、ああ、おとろしやあ・・。)

「そやけど、先生、つぎは、きっと抜いてくださいね」
「わたしも、お願いしますぅ」
「澪ちゃんも、梓ちゃんも、何いうてんの。そんなん、わたしが先に抜いてもらうし、ねえ、先生」
「あははぁぁ、そらもう、頑張りますわぁ」

(抜くも抜かんもあるかい、こっちは、二度と北新地になんか戻ってこれん身ぃやぞおぉぉ、もう再会もでけへんのやでぇぇ・・。)

「ああ、この菅先生やったら、きっとそうなるっ。みんな、楽しみにしもて、精だして応援さしてもらいっ。ねえ、先生、これはホンマに、いままで僕が見込んだ男は、みな、ちゃあんと成ってますのや。僕の目ぇに狂いはおまへんっ、先生は必ずっ、すごい作家はんに成りまっせっ。しっかり、頑張っとくれやっしゃっ」
「はいっ、そらもう、今までも命懸けで書かしてもらいよりますし、これからも、死んだ気ぃで書かしてもらいますっ」
「ほんと、先生やったら、きっとそうならはるわ。ええ目ぇ、してはりますもん」
 さも真剣に云うてくれる、れんさんのかたわらに・・・
「失礼します」
 と黒服の兄ちゃんが片膝たてて、何やら小声でささやいた。それは、たとえば信長の本陣に馳せ参じた伝令将兵のようでもあり、コクン、と軽くうなずいた彼女なら、まるで濃姫を想わせるに充分なのである。
 はたして、れんさんは微笑もて、すっく、と立ち上がった。
「会長さん、先生、ちょっと失礼しますぅ、どうぞ、ごゆっくり」

(お濃っ、案ずるなっ、わしは必ず天下布武を成しとげてみしょうぞっ。そのあかつきには、いっそ北新地中の着物美人のしつけ糸を抜いてっ、抜いてっ、抜きまくってぇっ、それを結い合わせてこさえた鉢巻まいてなあっ、この街中をカンカン踊りしてまわったるでえぇぇぇっ。)

 いや、じっさい、動かざること山のごとし、とも云われおる山猿の、数少ない弱点のうちに最たる一つが、別嬪さんのオダテ、なのである。しかも、その別嬪さんが艶やかなる着物姿となれば・・

 ほな、これからチョモランマの頂上まで駆け上がって、ラジオ体操第一だけやなしに、第二もやってから戻ってきますわっ!!

くらいのことを本気で、出来るっ、と想ってしまうヤツなのである。だから、皆さん、これからは、もう怒ったりケナしたりするのはやめて、どうぞ、ガンガンおだててやっていただきたい。

 とて山猿は、眼前の酒を、ググウッ、と見事に飲み干した、ちょうどその時である。
「どうもぉ、オジャマしますぅ」
 またまた、しかし、着物ではなくして派手なドレスで着飾った別嬪さんが、いかにも若々しい勢いもて、れんさんの空けた席に座った。
「オオッ」
 それまで、何ものにも動じないふうの会長が、思わず声をあげたのも、この時である。
 この子、お顔もさることながら、そのスラリと放り出した脚が・・、おフランスかどっかで特別注文してあつらえはったんですかあぁっ、とでも云いたいくらいに、めっちゃめちゃ美しいのだった。
 しかも、いわゆる生足ってやつである。
「さっき、お姉さんから、会長さんの大好物やっ、て聞いて、トイレで脱いできたんですぅ」
 ごく当たり前げに、なんと嬉しいことを云う子であろう。

(ホンマかいぃぃっ、トイレっ、いまさっきトイレで脱いできたあぁぁ、なんちゅうおとろしい、いや、ナイスな子ぉやねやぁぁっ。)

 山猿の脳裏には、れんさんがそないにしてはる格好、澪さんがそないなことしてる姿、梓さんがそないしてる仕草、などが次々と、しかも鮮やかなる極彩色もて浮かんでは、なかなか消えないのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 22:33 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

ことに月初めは、いろいろありまして、どうしてもアップがすすみませんこと、どうぞ、お許しくださいね。合掌

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北新地物語

 コラアッ!誰が憎みきれないロクデナシやねんっ!
ウシミツ刻になあ、お前の名前を貼ったワラ人形にクギ打ちつけてるオンナがどんだけおると思うてんねやっ!
このスケベ猿ぅっ!

 はい、はい、分かりました。
ほな、お待ちかねの公式いくわな・・。
「ホンマ、先生って雰囲気あって、ステキやわぁ」
 と、100%の御世辞を、しかし、ついつい・・・
「いやあ、そんなことないですってぇ」
 と山猿に云わせる梓さんはっ、てえと・・・

(千堂あきほ−推定年齢20)×(『紅蓮華』に出演してる秋吉久美子−推定年齢5)+『千年の恋 ひかる源氏物語』の常磐貴子

 で・・、だいたい想像はつくやろけど、これ以上は内緒。

「先生も、やっぱり・・、生足とかお好きなんですかぁ」
 なぁんてシナをつくっても、めっちゃさわやかな澪さんはぁ・・

『疵』に出演した時の藤谷美和子×若かりし頃の坂口良子

この答えにぃ、最盛期の叶和貴子を足して推定年齢−5したのち・・・・

 おお、おお、ほうか、ほうか。ホンマ、幸せなやっちゃのう、一生、好きに云うとけ、スケベ猿っ!
第一、そないに別嬪さんやったら、なんぼ北新地いうたかて、お前みたいなアホに、いつまでも御愛想したりするかいっ!ボケエッ!!

 うん、うん、よぉ分かった。
ほな、直接、ご本人さん方に聞いてみたろやないかい。
「そやけど、ホンマ、れんさんにしても、澪さんにしても、梓さんにしてもですよ。こないに別嬪さんやのに、たとえば芸能界デビューっ、とか思わないんですかぁ」
「もう、先生ったらぁ、ありがとうございます。そんなん、いっぺんも思うたことないですよ」
「あたしもやわぁ」
「わたしも。だって、北新地が好きやもん」
 最後は、それまで会長の横で、うずうず、頬笑んでいた、れんさんが、ビシイィィッ、とまとめ、澪さんと梓さんが、ネ〜、って感じで目を合わせつつ、うなずいたものであった・・、分かったかぁ。

「先生、このお酒が、すごく好きなんですってねぇ」
 これまた先んじて会長さんが、山猿の名前でキープしてくれはってた、オールドクロウ、という。
 かの松田優作さんが一生涯に愛飲したことでも知られるバーボンであり、云わでもながら山猿は、そのエピソードに食らいついて飲み始めたものであった。先のクラブ吉川さんでいただいてたのも、これである・・、ってことは云うまでもないか。

 したがって、この場の話題も、そうそれしかあるまい、っていうより、もともと、いっぱいいっぱいな山猿なのである。
「あのね、松田さん、御自分の主演映画のなかでも、わざわざ、この酒のためのワンシーン撮ってるくらいなんですよぉ。あの遊戯シリーズのなかでね、私は泣いています、のリリーさんがクラブ歌手の役で出てはって、ワンステージ終わってステージおりて、カウンターに座ってる優作さんの横に座ってね」
「はは、先生、例えが古いでんなあ。この子ぉら、きっと知りまへんで、なあ、澪ちゃん」
「まあ、松田優作なんて、めっちゃ有名ですやん、ちゃぁんと知ってますう。リリーさんかて、歌手と、女優もやってはりますよね」
「そうそう、ハスキーボイスの、お綺麗な方ですよね」

(そのとおりっ!せやけどな、澪ちゃんも梓ちゃんも、なぁんも心配せんかてええねんでぇ。ワイは、泣かしたりせえへんよってぇ。)

「あれっ?!澪ちゃん、なんや、着物の袖に付いてるでぇ・・、ああ、なんや、しつけ糸ちゃうかぁ。おっと、梓ちゃんもやんか。その着物、おろしたてかいな。しゃあけど、二人とも、しつけ糸くらい、とっとけよなあ、先生、すんまへんけど、その糸クズ、とったってくださいよ」
「えっ・・、あっ、そのっ、これですかぁ」
 なるほど、そう云われて、よくよく見たなら、着物の袖に、しつけ糸らしきものが縫いつけてあった。
 会長が、ここまで云うているかぎりには二人とも・・、なに触ってんのエッチィ、などとは云うはずもなかろう。
とて、山猿は満面の笑みを浮かべつつ、ソロリ、その指で糸クズをつまもうとした。
「ほな・・、失礼しますぅ」

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 19:21 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

こちらも北新地屈指の超一流高級クラブ岩室さんです。はてさて、山猿め、いかなることをやらかしますのやら・・。合掌

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北新地物語

 じつは、初めて会長の御相伴にあずかった折りふし、山猿にも出題された・・、ようは心地よく酔い始めた会長の十八番なのである。クイズそのものの出来も、いい。
 が、上機嫌かつ真面目くさった大顔で・・
「まず、大根のソロホームランで野菜さんチームが一点とってん」
 などと身振り手振りも面白く語りゆく、その様子こそは、たとえば真打昇進披露の高座で一生懸命かつ大得意なる落語家の一席を見聞するほどの巧みなのである。

 もちろん北新地の皆さんのなかに、これを直に知っている方々も少なくあるまい。また、何より、まだ知りまへんよって今度やってちょうだいね、という方々のためにも、これ以上は秘密にしておこう。
 ちなみに、出題された時に山猿は、五回ほどくり返し聞いても、ついに正解できず、それを可笑しがりつつ会長が、とうとうヒントめいたことを大得意に云い添えたのち、ようやく回答できたものであった。

「え〜っ、また違うの〜、もう分からへん、何でぇ〜」
 二回ほど不正解を重ねた梓ちゃんのおかげで、ますます熱気は高まるばかり。してやったりぃ、とて会長さんもご満悦なのである。
「梓ちゃん、よ〜聞きやぁ、もう答えは云うてんねんでっ、ねえ」
 れんさんは、とっくに知り尽くしているらしく、うんっ、と勢いこんで相づち打つ澪さんの、笑みくずした美貌の愛らしさは、また格別であった。

(ええのう、ホンマ、極楽やあ。吉川さんも最高やったけど、この岩室さんも、また一味違う天国やがなぁ。ということはぁ・・、きっと次のお店も、その次も、それぞれ違うんやろなぁ。もう、こないなったら、ワイ、いったいぜんたい、どこで即身成仏したらええのか、ついつい迷うてしまうがなぁ、う〜ん、困ったのう・・。)

「何やあ、そうやったんかぁ、もう」
 さも口惜しそうに云う梓さんではある、が、しかし、三回めで正解したのであるから、あきらかに山猿より頭がいいではないか。
「わたしなんか、四回めで、ようやっと分かったんよ」
 そう云いながら、れんさんが笑った時、すでに山猿は土俵際であった。が、すかさず澪さんが、手をたたきながら云う。
「えへへ、わたしは一回で当てたもん、ねぇ、会長さん」
 のこったっ、のこったあっ、と土俵際でバタバタしている山猿に、もう容赦もない、ハリ倒し、が炸裂したのは、この時である。

(そら、ワイはアホやっ、なんせ芸のためやったら女房も泣かす男やっ、けどっ、いまにみてみいっ、ワイはっ、ワイはっ・・、もう一杯いだだこかしらん・・。)

「ほな、次やでえ、ええか、ほれ、よう見いや」
 会長さんも、ノリノリってやつである。その、だいぶ使い込んだグローブみたいにゴッツい左手を、大きく広げて見せている。
「これ、何指や」
「お父さん指ぃ?」
「そやな、ほな、これは?」
「お母さん指」
「さすが、よう知ってるなあ、ほな、これは?」
 と、それぞれ五本指の別称を問うては、大真面目に感心してみせるのである。だからといって・・・

 あぁ、よかった、会長さん、ちゃんと赤ちゃん指もあるんやな。

などと妙な安心は御無用、なんせ某大手企業の会長さんなのである。いや、もし、かりに、もしもっ、アチラの業界の方であったとしても、おそらく、この人なら・・、揃ったままに違いない。
「よっしゃ、ほな、これからやでっ、よう見いやっ」
 云いつつ会長は、その使い込んだグローブみたいな手を広げたまま、テーブルの上に置いた。
 だからといって、ついに、これから指を詰めようってワケじゃないことも、あえて云い添えておきたい。
「お父さん指、お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、これは?」
「赤ちゃん指」
「そうそう、ここまではええな?」
 じっさい、これも山猿が初の御相伴の席で披露されたクイズであった。しかも山猿、なんべん聞いても、ついに分からずじまいで、ついに可笑しさをオーバーランしてしまったらしい会長が、ホンマにアホちゃうか、とでも云いたげな感じで答えを明かした時に、ようやく、なるほどぉ、と感嘆の溜息をついたものでもあった。
 ただ、いまだ見聞していない方々のために、あえて、これ以上は書かずにおきたい。いずれチャンスがめぐってきたなら、どうぞ、果敢にアタックして、大いに楽しみ、盛り上がってくださいね・・。

「あぁん、もう、わたし、ホンマに、アホやわあ」
 二回くりかえして聞いたのちに正解した梓さんは、いかにも参りましたあ、感じで照れ笑いしながら、ちょっと喉をうるおしている。
 その・・、そらもう超高級エステサロンでたった今お手入れしてきたとこですもん、とでも云うほかにない、いかにも柔らかくうねる白い喉を、チラッ、と見ながらも、どこ見つめてはんのん、イヤやわあ先生のスケベェ、などと、れんさんや澪さんや、とうの梓さんに想われては一生涯の不覚とて、さっと作務衣の襟なんぞ正しつつ、ちょっとオスマシさんなる山猿なのである。

(そないに口惜しがるなよ、梓さんっ、ワイの立つ瀬がのうなってまうやないかい・・、けど、ここは先に開き直ってバラしてたほうが、あとあと、ラクっちゅうもんやろなあ・・。)

「そんなぁ、梓さん、僕なんか、三回めで、ようやっと分かったんですからぁぁ」
 この大ウソつきヤロウ、なんて云わないでいただきたい。
なにせ、ここは、あこがれの北新地の真っ直中、いまだ見栄を捨てきれないでいる、だけど、ちょっぴり憎みきれないロクデナシなる山猿なのである・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 09:54 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

2010年06月02日

お寺参りして、気合い入れなおしてきました。が、あれやこれやと野暮用なども立て込み、ちょっとアップが追いつきません。合掌

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北新地物語

「先生、着てはる作務衣、毎日、クリーニング出してますのん?」
 どうにかショルダーバッグを説得して本と名刺入れをとり出して受けとっていただいたのち、すでに手際よく整えられていたグラスもて、またしても豪華絢爛にして華々しき乾杯をおえたのち、梓さんが問うている。
 山猿はといえば、すでに、あし田さんとクラブ吉川さんでいただいた酒にて、ますます気が大きくなっているらしい。

 エッ?
といったふうにして即答せず、わざわざ襟元を正してみせたりもしてから、さも嬉しそうに笑った。
「いやあ、この日のための、おろしたてなんですぅ」
「よう似合うてますね、じつは、わたしも会長さんから、先生は着物がお好きやって聞いたから、今晩は着付けてきたんですぅ」

(ひゃあぁぁ、やっぱし北新地の女の子ってすごいなぁ、いっぺんも会うたことない田舎モンのために、ここまでしてくれるんかぁ。いや、ホンマ、北新地のホステスさんと結婚した男は、めっちゃ幸せやろなあ・・、あぁ、それこそ毎日、こないしてぇ・・。)

 クラブ吉川にて合計3pものびてしまっている鼻の下が、さらに1pのびたことには、当然ながら気づいてもいない、ますます絶好調にアホ丸出しの山猿である。
「じつは、あたしもなんですよ、ホンマは滅多に着ないんですけど・・、ねえ、会長さん」
 澪さんも、ちょっと袖をひろげるようにして笑った。
「ああ、云うんやなかったなあ、れんちゃんだけでもタマゲたんやで。それが、まさか澪ちゃんまで着物やとはなあ。わしが何で岩室かよてるんか、れんちゃんも澪ちゃんも、よう知ってるクセに」
 会長は、さも残念そうに云いながら、ここでも自分スペシャルのカクテルを飲み、さすがに少しは酔い始めているらしい。
「先生、ホンマ、この子ぉらの生足は、そらもう、最高ですねんで。去年、僕が急病で死にかけた時にねぇ、この子ら、二人連れだって御見舞いに駆けつけてくれたんですわ、生足で。ホンマに、この子ぉらの生足パワーで、生き返ったようなもんですねん。せやから、この子ぉらの生足が、僕の生命の恩人っちゅうワケですわ」
「へえ、そうなんですかぁ、いやぁ、さっきの叔父さんのお話もやけど、さずが北新地って感じの、ええ話ですねえ」

 すると、いよいよ会長は上機嫌に云うのである。
「この子ぉら、真冬でも、僕が来るっちゅうたら生足でっせ。いやね、ホンマは、叔父貴の頃と違うて、いまの新地では生足禁止ですねんわ。そやのに、僕のために、お店の目ぇくらまして、生足フェチの僕にサービスしてくれよるんですわ。それが、今晩はサッパリや、すっかり先生にとられてしまいましたなあ」
「いや、いやぁ、とんでもない、おそれいりますぅ」
「ホンマ、口惜しいなあ、なんぼ僕でも、着物着てる子ぉの生足は触れませんわ。まあ、うちの叔父貴やったらやりかねんけど」
「いやぁ、なんぼなんでも、そこまでは・・」
「この子ぉら、いっつもはドレスやし、僕が来るとね、トイレで脱いできてくれますねんで」
「うわぁ・・、いや、その、何ちゅうたらええのか・・」
「もう、会長さん、先生、困ってはるやないですかぁ。あっ、そうそう、先生、わたし、先生のブログ、ちゃんと見てるんですよぉ」
「わたしもチェックいれてきましたよ、ブログのお写真は、髪ほどいてはるから、なんか、イメージと違うわあ」
「わたし、云わんとこ思うてたけど、梓ちゃんや澪ちゃんに負けんように云うとこ。先生、わたしも、しっかり見せてもろぉてますぅ。毎日、毎日、よう、あんだけ書けますねえ、さすがやわ」

(よっしゃっ!決めたっ!ワイの嫁は北新地のホステスさんに決定っ!)

 北新地の女性たちは、たとえば山猿の故郷にそびえて西日本最高峰を誇る石鎚山の頂上の、ここがホンマのテッペンなんやでぇ、という孤高の絶壁に咲く、まこと命懸けでも手のとどかない高嶺の花であることを、もはや忘れきってしまっている、まったく脳天気ヤロウな山猿であった。

 そんな山猿の思い上がったカン違いに気づいたのであろうか。山猿のおかわりをこしらえてくれた梓さんは、またもや山猿が驚嘆するようなことを、さらり、平然として云うのである。
「わたし、こんなふうに着物着てるけど、ほんまはハーフなんですぅ、どうですか、先生の目ぇからみて、似合うてますかぁ」
「はいっ、そらもうっ、似合いすぎるほどバッチリですわっ」
 むろん本心である、れんさん、澪さん、梓さん、みんな、それぞれ個性的に、しかも、ピシィッ!と着こなしていた。

「先生、吉川の桔梗ちゃんもそうやったけど、この梓ちゃんも、四カ国語ペラペラなんですわ、なあ。なかでも、とくに耳元で中国語しゃべってもぉたら、もう、ウットリしまっせ」
「へえぇぇっ、そうなんやあ〜」

(お願いやからワイの耳元でオ〜アイニ〜てささやいてちょうだいかぁ・・。)

 よっぽど云いたかったのだけれど、いくらなんでも、そこまでの勇気は無い山猿であった。

(あ〜、もうタマラんわいっ、こないな別嬪さんに、そないなことされたら、ぜったい、あないなことになってしまうでぇぇぇっ。)

「ねえ、会長さん、あのクイズ出して、まだ、梓ちゃん、知らへんはずよ。ほら、野菜さんチームと果物さんチームの野球のヤツゥ」
「おっ、そうかあ、ほな、やったろ。ええかぁ、梓ちゃん、よぉ聞きやぁ、野球の試合でな、野菜さんチームと果物さんチームが対戦してん。ほんでな・・」

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 22:56 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語