2010年06月13日

実名で出演してる僕は仕方ないとして、どうやら会長さんを実在の誰かしらと想い込んでる人々も少なくないようですが・・、あらためて、それは、ただのカン違いですよっ。合掌

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北新地物語

「いやあ、雪絵さんでしたよねぇ、僕が学生の頃に使ってたペンネームは雪乃っていうんです、一字違いでしたね」
「ホントですかぁ、でも、やっぱり学生さんの頃から書いてらっしゃったんですね」
「いえ、その頃には小説とかやなしに、詩ぃでした。ジョンレノンに憬れて、なんか書こうと思うようになったんですよ」
「ああ、それで丸い眼鏡をかけてはるんですね」

 もう、いっぱいいっぱいなんは分かってるけど、せめて誰に似とるかぐらいは教えたれよ、のう、スケベ産婦人科の悪徳センセー。

 おお、スマンのう、ホンマにこれ以上の女優さんは知らんのじゃい。まあ、あえて知っとるいうたら、あとは有名AV女優さんくらいなもんやけど、それで公式つくったら、北新地の女の人らが気ぃ悪うするやろから、慎んでひかえさしてもらうわい。

 アホやのう、女優やのうても歌手とかタレントとか、女子アナっちゅうんもおるやろが。なあ、ちょっとでも教えたれよ。

 お前らも、しつこいスケベやのう、ワイはテレビやら全然観んのじゃ、ボケェ。そやけど、まあ・・、ほな、ちょっと待てぇ、インターネットで調べてみたるわい。
えーとぉ、亜弥さんはなぁ・・

『スローなブギにしてくれ』に出てはる浅野温子さん×(秋本奈緒美−推定年齢27)がベースや。
ほてから雪絵さんはぁ・・・

デビューしたての八神純子×(手塚理美−推定年齢26)
これをゴマダレドレッシングで軽く和えました、っちゅうとこか。

「ただ丸いだけやのぉて、先生の眼鏡はホンマにジョンレノンのヤツやで。ねえ、先生」
「えっ、いえ、おんなじいうても、ただのレプリカですからぁ」
「それでも、すごいわあ。よう似合うてはりますし」
「亜弥ちゃんの云うとおり、ホンマ、よう似合うてはりますよ」
「はは、ありがとうございますぅ、100%お世辞でも嬉しいですわぁ」

(エヘッ、ほんとは自分でも、そない思うて掛けてるんやけど、たちまち謙遜しとくんが大人っちゅうもんやでえ。何でも、ひかえめにしとったら、あとあと・・、全然似合うてへんかったわね・・、ほんと、ダサァって感じぃ・・、ジョンレノンやらガンジーどころか、ホラ、滝廉太郎を叩きつぶしたみたいやったわぁ・・、とか云われた時に、メゲずにすむもんねえ。そやけど、こうやって短時間で店移動すると、おんなじ話題で済むあたりがラクでええわなあ。なんてったって、そのほうが美女に集中でけるもんね。いや、ホンマ、今晩やったら黒服の兄ちゃん全員一斉にかかってきても、なんや、負ける気ぃせんもんなあ・・。)

 もともと別嬪さんを前にすると、ふだん以上に話題に困り果てる山猿にとっては、このあたりが本音にも近い。
 が、ついつい気をゆるめてしまっていた山猿の眼前に、さらなる必殺パンチがくり出されたのも、じっさい、この時である。
「ごめんなさいねぇ、遅くなりましたぁ」
「おっ、旭菜ママ、待っとったで、逢いたかったわ。先生、こちらが、北新地を知り尽くした僕のイチ押し、旭菜優ママですわ。ママ、こちらが、わざわざ四国愛媛は西条から、はるばる来てきれはった菅靖匡先生や。かんの、ぶただ、ちゃうんやで。かん、のぶただ、先生やでぇ」
「お初にお目にかかりますぅ、旭菜優いいます、どうぞ、お見知りおき願いますぅ」
「はっ、あのっ、菅ですっ、今日は、すっかり会長さんに甘えさしてもろてますっ、どうぞっ、ヨロシクお願いいたしますっ」
 なかば腰を浮かせて、小さく前へならえっ、しながら、ペコッ!と頭をさげた山猿って、きっと周囲からも可愛らしく映ったことであったろう。
 そんなことを瞬時に判断する山猿なら、すでに、たとえば世界の巨匠である北野武さんと同様に、自ら監督作品に主演するようなものであり、コイツゥ、なかなか大したヤツなのである。
「まあ、優ちゃん、はよ座りぃな、まずは乾杯しょーやないか。ああ、そや、先生、優ママにも本をプレゼントしたげとくなはれ」
「あっ、はいっ、そらもう、喜んでえっ」
 おおっと、ところがどっこい、カンジンのショルダーバッグめは、先に用済みとて黒服の兄ちゃんに預けてしまっていたのだった。
 なんせ、極妻やってる高島礼子と『太陽にほえろ』でマカロニ刑事の恋人っぽい役してはった高橋恵子を混ぜ合わせて、極上デミグラスソースを和えたのちに漂白したみたいなママさんが、手をのばせばとどくほどの距離で微笑しているのである。慌てるなやあ、というほうがムリであろう。

 それこそ、アタフタしまくりで、なんとか黒服の兄ちゃんにバッグを持ってきてもらい、やっと本と名刺を受けとってもらえた。
 ああ、やれやれ・・、と思った刹那、ついに会長が、その身をのりだしては、チョイ、と右手のお母さん指で眼鏡の位置を押し上げ、とんでもない一言を発したものであった。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 19:45 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語

昨日は西条で飲みました、案の定、ひどい二日酔いでした。あの大阪で迎えた朝の清々しさは、もう二度と味わえないのでしょうか。合掌

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北新地物語

 いくら四国の山猿とて、少しは落ち着いてショルダーバッグをいじったなら、一つだけヒモの無いチャックをさがすのは大した苦労でもなく、しかも仕込んできた本が減っている分だけ、心の負担も軽くなっている。
 さらに杯を重ねた酒のせいでもあろう、ずいぶんと気が大きくなりつつある山猿なら、本を受けとっていただだき、名刺交換などしたとたんに、さも慣れた手つきで千春ママさんから頂戴した龍馬扇を使いこなし、ハタハタ、自らをあおぐうちに気分は、ふたたび高杉晋作君なのである。
「ほな、会長さん、菅先生、カンパ〜イ」
「先生、あらためて、北新地屈指の美貌を誇る麗羅ママと、こっちが亜弥ちゃんですわ」
「どぉも、初めましてぇ、菅先生、御世話になりますぅ」
 しっとりとした金色に輝くドレスに身を包み、さらに漆黒に薄いカーデガン【女性の服の正式名称など分からないんです】をフワリと着こなした亜弥さんと軽くグラスを合わせ、すかさず麗羅ママさんとも乾杯した刹那には、なぜだか作務衣を着たマイケル・コルレオーネに成りきっている山猿でもあった。

「先生、どうですか、北新地。たしか最初は吉川さん、つぎに岩室さんとお聞きしましたけど、二軒とも新地に名だたるクラブですから、すっかり北新地の夜を満喫してはるんちゃいますのん」
「そらもう、最高ですねえ。いや、ホンマ、ここもまた雰囲気が違うて、まさに極楽巡礼ツアーですぅ」
「そういや、先生、じつはねえ、さっきお会いした岩室の冬子ママさんて、昔、僕の叔父貴と恋人どうしやったそうですわ。いや、さすがにママさん御本人から聞いたんやのうて、吉川に古株の黒服から仕入れたことですけど、まあ間違いない情報ですわなあ」
 先に提示した公式によって求められた答えに、『激動の1750日』に出演している岡田茉莉子−推定年齢52したような麗羅ママさんのとなりで、えらく饒舌になった会長なのである。

(おっとっとぉ、なんぼアルコール控えめの自己流カクテルっちゅうても、そろそろ酔うてきよったな。そやけど、ますます『仁義なき戦い』に出てはるような雰囲気も増してきて、知り合いやなかったら、このオッサンには近づかんとこっ、ちゅう感じやのう、しかしぃ・・。)

「まあ、先生、麗羅ママの云うとおり、ちょっとは夜の北新地にも慣れてきたんちゃいますか?けど、まだまだ、これからでっせ」
「はいっ、もう成仏覚悟の死んだ気ぃですけんっ」
 つい故郷の方言を出してしまった山猿ではある、が、これがいけなかったらしい。その眼鏡の奥で、会長の眼が鈍く光った。
「その意気ですわ、先生、まずは今晩のアフターまで、きっちり、つき合うとくなはれや」

 遅い帰りをかれこれ言わぬ 女房の笑顔の気味悪さ

と、お気に入りらしい都々逸を口ずさみ、さらに会長は眼を据えた。
「僕も、腹は括っとりますよって・・、頼んまっせぇ」
「そらもうっ、極楽の果てまででも御共さしてもらいますっ」
「あっ、すみませぇん、ちょっと失礼しますぅ。雪絵ちゃん、宜しくね」
「はい、会長さん、菅先生、今晩は、雪絵です」
 会長の都々逸に合わせて舞いを舞うように席を立った麗羅ママさんのあとには、これまた黒っぽい着物をビシイッ!と着付けた雪絵さんが座り、いかにも慣れた手つきで軽く乾杯などをした。
 云うまでもなく、広い店内は満席である。むしろ、これまでの店より多いのではないか、と思われる黒服の兄ちゃんたちが、まったく映画で観るボディーガードそのままに直立不動、あるいは忙しくインカムをいじりながら移動し、そのあいだを蝶々みたいにヒラヒラと行き交う天女さんと観音さんたちなら、きわめて厳しい山猿監督にすらダメ出しするスキもあたえずして、もう撮影も絶好調なのである。

「なあ、亜弥ちゃん、今日は、旭菜ママは忙しいんかなあ」
「優ママさんは、いまちょっと・・、けど、必ず御挨拶にきますって云うてはりましたよ」
「ほうか、先生、麗羅ママもそうやけど、ここでは是非とも旭菜優ママを紹介さしてもらいたんですわ。じつは僕はねえ、旭菜ママこそが北新地で一番というてもええほど、惚れてますねん」
「はあ、そうなんですかぁ」

(ついさっきの岩室さんでは、れんさん最高って云うてたやなかですかぁ。ワイが連れてきてもろた店ことごとく、最高ですうっ、て云うてんのと、どっちがどうやねん。ばってん、ホンマに、もう、どこまで正気なんか、ワケ分からんオッサンやでぇ、しかしぃ・・。)

「ああ、せや、せや、先生、この店の黒服にね、内藤っちゅう若いモンがおりますねんけど、コイツがまた、底抜けのアホでオモロいヤツですねん」
 と云いながら、グラスを置いた会長は、キョロッキョロッと店内あちこちを見渡していたが、やがて、またグラスを手にした。
「ちょっと見当たりませんわ、まあ、またあとで見えますやろ」
「えっ?!なんでしたら、内藤さん、お呼びしましょか?!」
「いや、いや、かまへん、わざわざ呼びつけるほどでもないわ。それより、雪絵ちゃん、先生にお作りしたげてぇな」
「あっ、はい、すみません、失礼しますぅ」
 愛想よく頬笑んだ雪絵さんが、お代わりをこしらえてくれる間にも、なんだかソワソワし始めたような会長を見やった山猿であった。

(こりゃ、どうやら会長はん、ついにノッてきたらしいでぇ。)

 なにせ平然と生足を触りまくる人なのである、そんな人が酔ってはずすハメとは、いったいぜんたい、いかほどのものであろう。
とて、ますます期待も高まる一方ではないか・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 12:24 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語