2010年06月14日

この物語は、菅靖匡が実体験させていただいた事実をもとに、ただの小説として創造するフィクションであり、作者以外の登場人物およびクラブ等は、まったく実在のものとは関係ありませんっ。合掌

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北新地物語

 風の噂はどうやら胸に 蒔いた覚えの罪の種

「まあ、先生、こないな別嬪ばっかりに囲まれて、どうも思わんほうが、男としては、おかしいっちゅうもんでっしゃろ」

 どっちも色よい返事があって 迷っている間に逃げた恋

「はあ、まあ、そういうもんかも知れませんねぇ」

(とは云うても、まずは先だつモンがないとなあ。いつか自分の甲斐性で、なんぼでも会長さんに御礼でけるくらいにはならんと、こないな別嬪さんはハナもひっかけてくれるかい。まあ、そやけど、ホンマ、いまに見とってくれよ、ワイだってぇ・・、いう気ぃにさしてくれるだけで、なんとも有り難いこっちゃあぁぁぁっ。)

「ねえ、先生、すごくステキなお召し物、ピシッと着こなしてらっしゃるってことは、いつも、そんな格好してはりますの?」
 そんなことを云うてくれる麗羅ママさんの微笑は、たとえば、いわゆる勝利の女神を想わせるに充分すぎる目映さなのである。
「はあ、まあ、普段着ですねえ、いっぺん着ると、ホンマにラクやし、クセになってしもぉてぇ」

(けど、これは、あつらえて買うたばっかしの一張羅でっせぇ。)

 さっと襟をなおしつつ、背筋も正して、ちょっと畏まらないと、とても麗羅ママさんのとなりに座ってなんかいられない山猿であった。
 が、しかし、本当に北新地の女性方々は鋭く、しかも聡い。
「やっぱりねぇ、ほんとに自然に馴染んではりますもん。そこまでステキな雰囲気だせるのは、着慣れてはる証拠ですもん。そのあたり、わたしの着物は、どないです?着物好きの先生のお目に、かなうやろかしらぁ?」
「そっ、そらもうっ、バッチリですぅっ、麗羅ママさん、すなわち着物、着物、すなわち麗羅ママさん、っちゅうくらい馴染んでますよっ、いやっ、ホンマのホンマっ、目がくらんでますっ」
「まあ、そないに先生に褒めてもろぉたら、ホンマに嬉しいわあ、着付けてきた甲斐があったわぁ」
「先生、麗羅ママはねぇ、ドレスでも、ブルッときまっせ」
「分かります、分かります、ママさんやったら、もう」

(裸がサイコーに美しいと想いまっせえぇぇぇぇっ。)

「どないな格好でも、まるで勝利の女神さんそのままですうぅぅ」
「おっ、そういや、まだ内藤を見かけんなあ。先生、ここの黒服の内藤っちゅうんはね、ホンマにアホですねん」
「もう、イヤですよ、会長さん、その話はぁ」
「おっと、そないにマジで怖い顔しぃな、云わへんがな」
 ようやく会長が口にチャックする真似して笑ったあたりも、やはり麗羅ママさんによる魔術の見事さであったに違いない。

(ああ、よかったあぁっ、ようやっと普通の会長さんに戻ってくれたわぁっ。しゃあけど、内藤君、いったいぜんたい、どないな話やねん。それより、まずは、どないなお顔してますねやぁ、ねえ、内藤君。)

「それより、先生、いただいた御本、いつの時代の歴史ですか?もう、はよ読みたくて気になって、気になって」
 云いながらグラスにつける麗羅ママさんの唇は、まるで、もぎたてのサクランボみたいにも想え、あんなんでキスしてもろたらワイは一発で即身成仏やろなあぁぁ、なんて夢見る山猿なのである。
「あれですかぁ、あれは戦国時代のね、信長やら秀吉やら家康に仕えた武将の物語ですぅ。その嫁さんとかはぁ、まるでママさんやら皆さんみたいな女性ばっかしですよ、ホンマに、もう」
 と云うた山猿の目の前に、ホンマモンの寧々【ねね=秀吉の愛妻】さんが現れたのは、まさに、この時であった。

 すなわち、その途端に山猿は、高杉晋作でもマイケル・コルレオーネでもなく、まこと醍醐の花見にて、よりどりみどりに別嬪さんをはべらせて有頂天に浮かれていた秀吉そのままの心地だったのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 23:20 | Comment(1) | 実録 華も実もある北新地物語

今回は、いわゆる18禁といたします。また一般道徳上に鑑みて不適切な言葉や表現がありますが、当時の雰囲気を忠実に再現せんがため、あえて修正しないまま表記しました。合掌

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北新地物語

 惚れた数からふられた数を 引けば女房が残るだけ

どうやら会長、別嬪さんの横で酔うてゴキゲンさんになると、都々逸を口ずさむのがクセらしい。
 あははぁ、と聞き流しながら、クラブ吉川の千春ママさんにいただいた龍馬扇にて、すっかり高杉晋作に成りきってしまっている山猿も、つい調子を合わせたりした。
「僕は、都々逸やったら、三千世界、が大好きなんですよね」
「わあ、先生も都々逸なんか知ってはるんですかぁ」
「まあ、会長さんほどじゃないですけどね」

(なんせ、三千世界は、ワシがこさえた唄じゃけぇのう。あんときゃあ、おうの、の膝枕で気持ちよう唄うたもんじゃった。三千世界のカラスを殺し〜、ぬしと朝寝がしてみたい〜、ってかあ・・。)

「いや、先生、聞いとくなはれ。これだけは、はっきり云うときますわ。そら、確かに僕が気に入ってる子ぉと同伴する時にはねぇ、いっつもやったら、遅うても当日の昼過ぎには逢うて、まずは」

 横に寝かせて枕をさせて 指で楽しむ琴の糸

 膝にあそばせ胸にも抱いて そっと鳴かせる三味の糸

「ちゅうもんですわ。ほんで、まあ軽く食事したりもしますわなあ。そやけどね、先生、この旭菜優ママだけっ、この優ママだけはっ、今までっ、いっぺんもっ、オメコの毛ぇの一本たりとっ、ただの一本もでっせっ、触らしてくれたことおまへんねんっ、どないだっ、えっ、先生っ、どない思わはりますかっ」
「ええっ?!いやっ、そのっ、どないもこないも・・」
「先生、ワシャア、この世へ向いて親分になるために生まれてきたようなもんですよ。じゃけんど、先生、ワシャ、会長じゃあ、会長じゃあ云うてもよ、なかなか自由になりゃせんのですよ。のう、優ママ、お父ちゃんは、お前の好きな金の玉を、ふたぁつも持っとるんじゃけん。ちゅうて、先生、ワシャ、これのこと想うてよ、ええ具合に塩梅しとっちゃるんじゃけん、云うてナンボ口説いても、こんなぁ、オメコの毛ぇも触らしゃあせんのですよ」
「いやっ、そのっ、まあ、毛をさわるくらいやったら・・、ねえ」
「教育者の先生が、そったらことぉ云うたら、いけんでしょうが」

「・・会長さん、どないしはったんですか?すっかり酔うてはりますのん?」
 旭菜ママさんが苦笑しながら云い、亜弥さんたちは呆気にとられた真顔で、しかも、山猿を見据える会長から目をそらしている。
「いや、あの、いま会長さんが云わはったんは、『仁義なき戦い』のなかの名ゼリフばっかりですよ・・、ねえ、会長さん」
「ほいじゃ云うといたるがのぉ、広島極道はイモかも知れんが、旅の風下に立ったことは、いっぺんもないんでぇ」
 ギリッ!と眼を据えて云うなり、さも不機嫌そうにグラスをとったあたりは、なるほど、かの小林旭に成りきってきるらしい。
 ただし、最初のセリフは金子信夫さん演ずる山守組長のそれであり、教育者うんぬん、は菅原文太さん演ずる広能組長のそれである。ただし、会長はノリノリでふざけているつもりであろうが、山猿はじめ周囲は、あまりの恐ろしさにビビっているだけであった。
「あっ、会長さん、先生、ちょっと失礼しますぅ」

ほらね、旭菜優ママさんが忙しそうに席を離れていっちゃったぁ。

 いや、もちろん、お店が忙しいからであり、決して会長さんに恐れをなしたワケではないことだけは、ここに明記しておこう。
「どうですか、先生、ありゃあ、ワシにオメ」
「分かりました、分かりましたけん、会長さん、ほら、もう、機嫌なおして飲んでつかぁさいや、こんとおりですけん」
「広島の喧嘩いうたら獲るか獲られるかでぇ、いっぺん後手にまわったら、死ぬまで先手にゃあまわれんのじゃけえ」
 あらためて断っておくが、この会長は、某大手会社のトップであって、決して、あちらの業界の方ではない。
 ただし、そうとう小林旭に憬れているらしく、しかも、一度やり始めたなら、とにかく自分の気がおさまるまでは周囲なんぞ関係なくなる、という習性を、これは、かなり強めに保っているようで、ことに豪華セットが出来上がっているところでは気合いもはいりやすいのであろう、その演技も迫真そのものなのだった。

「もう、会長さん、おふざけが過ぎますよ。亜弥ちゃんも雪ちゃんんも、ホンマに怖がってますやん」
 ようやく麗羅ママさんが戻ってくれて、なんとか落ち着いたものの、いまだ会長の眼は、その眼鏡の奥で据わりっぱなしなのである。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 12:29 | Comment(0) | 実録 華も実もある北新地物語