2008年12月11日

人間の欲望は果てしないもんじゃから、いっそう心して、足るを知る、ことが肝要ぞ!!

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空ノ蔵の物語
     二
 さて、青い大空に浮かぶ白い雲の上ではのもし、神様や仏様が集まって話し合いをされとりまさい。
「おいおい、何やら地上が物騒なことになっとるぞよ」
「ほうよ、人間が戦争なんぞを思いついたらしいわね」
「いや、あれは鬼や悪魔どもの入れ知恵じゃがや」
「ありゃりゃあ、鬼や悪魔は、ずいぶん前にやっつけて、地下の牢屋に閉じこめているはずじゃけんどのもし」
「それがのう、近ごろは、まだ足りん国が、地上だけでは足りん、と云うて、ぎょうさんの穴を掘っとるけんのーえ、ほんで・・」
「地下にあった鬼や悪魔の牢屋が、こわれてしもうたんかいのもし」
「どうも、そうらしいんよ。わしゃ、今年が当番じゃったけんの、人間達に幸せを分けるために単身赴任しとったろがね」
「そういや普賢菩薩(ふげんぼさつ)はん、アンタは、確かヘビに化けて行たわいねえ」
「ほうよ。わしゃヘビに化けて行ったんじゃけんどのーえ、どうも人間はヘビをきらうんかのう、わしを見るたびに大人はタマゲるわ、子供は泣いて逃げ出すわ、こりゃイカン、と思うて・・、ついつい石垣の奥や地下に隠れておるうちに、アンタ、つい幸せを分け切れずに、とうとう世の中が不景気や争いで大騒ぎじゃがね。ほれ、ワシってもともと内気で恥ずかしがり屋さんじゃけんのもし」

 この時には、どうも伊予西条の神仏さんらだけでなしに、摂津(せっつ)は浪速(なにわ)のほうの神仏さんもおったらしいわね。
「のんきな事を云うとる場合やおまへんで」
「そうや。早う何とかしたらんとアカンでえ」
「とくに、のぉの助ちゅう男前、アレはメッチャおもろいヤツやからなあ・・、ちょっとでも早うに、何とかしたらなあかんがな」
「とにかく、次の当番は誰やねん」
「ワシですけん」
「おお勢至菩薩(せいしぼさつ)はんかいな。ほんならアンタは何に化けていきますのん。二回つづけて同じモンはあきまへんで」「分かっとりますけん。こうなったら、脚の速い午に化けていきたいと思います。地上を駆け回って、何とか幸せを分け与えてやりたいと思いますけんのもし」
「ほやけんど、アンタ、幸せを分けたるんは、心がけのええ人々が先やないとあきまへんで」
「分かっとりますけん。まあ任しとって下さい」

 こうして勢至菩薩様は足の速い馬に化けてのもし、何とか早うに戦争を思いとどまらせようと思われたんじゃろねえ・・、まずは『まだ足りん国』へと急いだんじゃちゅわね。
 りっぱな馬を見つけた『まだ足りん国』の人々は、この馬が仏様じゃとは分からんままに、さっそく王様のところへ馬を連れていったっちゅ。
「何と見事な馬じゃ。けんど、一頭だけとは、まだ足りんわい。きっと仲間がおるはずじゃけんのう。もっとよく探さんかい」
 と云い、宝物を入れる大きな蔵へ入れようとしたところが、蔵にはぎっしりと物が詰まっておりますけんのもし・・。
しかたがないので『まだ足りん国』の王様は・・
「馬なら外へつないでおけばよかろうがや」
 と云うてのもし、大きな木につないだんじゃと。

 ところが、アンタ、鬼や悪魔には、木につながれた馬が仏様じゃということが分かるがね。
「こりゃアカンで。見つかったら、また牢屋に入れられてまうがな。とりあえず『もう足りとる国』へ逃げとこ」
 と云い、みんなで『もう足りとる国』へ引っ越したんですけん。
引っ越す時に鬼や悪魔達は・・
「高いぃ、低いぃ、仕事きっちり!」
 と、ワケの分からん唄を歌いもて荷物を運んだらしいけんどが、まあ、このさい、ほなな事はどうでもええ。
「まあ『もう足りとる国』ちゅうくらいやから、そら御馳走やら宝物やら、ギョーサンあるはずや」
「おお、楽しみやのう」
 などと云いながら引っ越したんじゃちゅう。

 ところが、『もう足りとる国』に着いた鬼や悪魔は驚いてしもうた。
「何や、これだけかい」
 と呆れたらしいわね。そこで『もう足りとる国』の王様の寝室にもぐり込んでのもし・・
「王様よ、アンタの国は貧しすぎるんちゃうか。宝物なんぞ一つもないし、もっと食べ物なんかも、いっぱいたくわえなアカンやろ」「そうやで。『まだ足りん国』を見てみなはれ。国民が五十年かかっても使い切れん宝物と、百年かかっても食べきれん食料をたくわえとる」
「それでも、まだ足りん、ちゅうてアンタ、みな目の色変えて必死で働いて働いて、ちょっとでもスキを見せたら、よその家族のモンでも盗んできよるで」
「ホンマに、ええ心がけやなあ」
 と口々に、『もう足りとる国』の王様をそそのかした。
「人間やろが。もっと欲を出さんかい」
 と、王様を説得しようとしたんじゃちゅわね。
なんちゅうても、アンタ、鬼や悪魔の大好物は、人間の内に生まれる限りない欲望・・、ちゅうやつじゃけんのもし・・・。

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 16:03 | Comment(0) | 仏教童話 当ブログ用
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