2008年12月12日

人間の欲望は果てしないからこそ、足ることを知れば、たちまち幸せになれるのさ!!

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空ノ蔵の物語
        三
 すると王様は
「私の国では、一年分の食料をたくわえておるぞよ。もし今年が不作でも、みんなで一年辛抱すれば、また自然の恵みがもたらされるじゃろう」
 と云うたんじゃちゅわね。ほしたらの、鬼や悪魔は・・
「甘いでえ、王様よ。アンタの国の大蔵は、まだスカスカやんか。もっとこう、ぎっしり詰め込んで、それでも足りんようになるから、また山の木を伐って蔵を建てて、腐った物は捨てて新鮮な物だけを積んでいかな」
 ところがのもし、王様は・・
「腐らせて捨てるのは、食べ切れないからじゃけん。人は空腹でない程度に食べ、暑さ寒さに雨露をしのげるほどに暮らせれば幸せじゃよ。それになあ、私の国の大蔵は、もう沢山の大切なものが詰まっているからなあ、余計な物は入らないんじゃけんのもし」
 と笑ったんじゃちゅう。
「何をネボケとるんじゃい」
「大蔵は空っぽに近いやないかい」
 と鬼や悪魔は云い・・、王様は・・
「目には見えないが、みんなの思い出、という宝物がぎっしり詰まっておってのう、それでもありがたいことに、思い出はどんどん増えてゆくわい」
 と云ったんじゃそうな。
鬼や悪魔は、とうとう呆れ果ててのもし、みなで・・
「とても、こんな国には住めんでよ」
 と、地下深くに逃げてしもうたらしい。

 一方、『まだ足りん国』の大きな木につながれて雨ざらし日ざらしになっていた馬は、やがて新しく建った蔵に入れられたんぞね。
「さあ、家もできた。新鮮な御馳走もたっぷり食え。口に合わなければ、遠慮なく言えよ。何せ馬だけに、もっと美味い物を探して食わせてやるでよ。この水もな、ただの水ではないぞ。山や川の水は枯れてきたからな、海の底の水をくみ上げておるのよ」
 ほしたら、馬が云うたっちゅう。
「もう充分じゃ。食い切れんほどの食料はもったいないだけじゃし、山や川が枯れたのは、お前さんらの限りない欲望のせいじゃぞ。それでも、まだ足りん、といっては海の底まで荒らすとは、呆れてしまうばかりじゃ。そんな事を繰り返しているうちは、目の前に在る幸せにも気づかないままで、まだ安心できん、と心配ばかりしながら、一生アクセクと苦労せにゃならんがの」
「馬のくせに説教するとは、お前のほうこそ呆れたヤツじゃが。まあええわい。もっと美味いモンをたらふく食わせてやるから、早う仲間を呼べや。もっともっと、ええ暮らしさしちゃるでえ」
 そんなある日のこと、ついに馬は・・
「キリがない。こりゃ、こんな所には住めんわい」
 とタメ息をつき、とうとう『まだ足りん国』を逃げ出して『もう足りとる国』へ入った。すると『もう足りとる国』の人々は・・「何と見事な馬じゃ。こんな馬を見ることができただけでもありがたや」
 と喜び合い
「王様や他の人にも見てもらおう。眼福じゃもの」
「おお、眼福じゃ」
 と云い、みんなで喜びを分かち合ったんじゃちゅわのもし。
王様も
「ほんに見事な馬じゃなあ。やれ、馬よ。食べ物とて、これだけしかないが、みんなで協力して育てた自然の恵みじゃ。それを美味しいと思うてくれるなら、いつまでもこの国で暮らしてくれよ」
 と、馬のたてがみを優しく撫でた。
馬は、コクリと深くうなずき、この『もう足りとる国』で、満ち足りた幸福をまき散らしながら暮らしたんじゃと。

 さて『まだ足りん国』から仏様が出ていったスキには、鬼や悪魔が這い出してきてなあ、この『まだ足りん国』をたいそう気に入って、そのまま棲みついたんじゃと。
 何せ、鬼や悪魔の大好物の、限りない欲望が渦巻いておるんじゃけん。
 やがて長い長い時間が流れ、二つの国は徐々にまじわって一つの国になってしもうたよ。もう、分かっておるんじゃろ・・、一つになった国の名は『人の心』ちゅうんじゃがね。
 さあて、これを読んだり聞いたりしてくれた皆々様に、はてさて、お前様は『もう足りとる国』と『まだ足りん国』の、いったいどっちの子孫じゃろうかな?
(はあ、猿がお尻は真赤いなあ、真赤いな【物語り、お終い。という意味じゃけんのもし】)

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posted by 歴史小説家 菅靖匡 at 14:01 | Comment(0) | 仏教童話 当ブログ用
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